表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残念で不幸なぼくを異世界美少女が欲しがる件について  作者: 高安ゆき(ゆきゆき)
第4章:『残念で不幸な僕が、美少女たちと全面戦争する件について』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/85

第26話:魔導超兵器グングニル装填(第1節)

 絶体絶命の戦場に、けたたましい駆動音を響かせて魔導戦車スレイプニルが到着した。


 その巨大な八本の鋼鉄脚が雪原に深く沈み込み、急停止する。

 車体の上部では、神槍『グングニル』の無骨な砲身が、冷たい輝きを放ちながらゆっくりと災厄の魔神へと向けられた。


「何してるの凡人。遅かったわよ」


 戦車の扉が開くや否や、後方で待機していたリリアーナが、紫のローブを翻して素早く車内へと飛び込んできた。

 いつもの気怠げな態度や、人を食ったような余裕はそこにはない。


 彼女は鋭い瞳で車内の計器盤を睨みつけると、手にした杖を制御装置のコアに突き立てた。


「魔力回路、オールグリーン。魔導エネルギーのバイパス接続、完了。……いつでもいけるわ」


 流れるような手つきで、瞬く間にグングニルの発射準備を整えていく。

 その隣では、ドナが額に汗を滲ませながら、普段のいたずらっぽい笑顔を完全に消し去り、真剣な職人の顔つきで無数のレバーを操作していた。


「主砲の冷却装置、作動確認! 砲身のロック解除! ……お兄ちゃん、早く!」


「わ、わかった!」


 ドナの気迫に押され、悠真は首元から『運命の石』を外し、操縦席の中央にあるくぼみ――起動装置へと慎重に装填した。


 カチリ、と硬い音が鳴る。


 その瞬間、戦車全体が微かに震え、石から放たれるどす黒い『不運エネルギー』が、グングニルの砲身へと吸い上げられていくのが分かった。


(……こいつら、やるときはやるんだな)

 悠真は、二人の賢者の真剣な横顔を見て、心から感心した。


 いつもは自分をからかい、オモチャにして遊んでばかりの彼女たちだが、いざという時はこんなにも頼りになる。

 天才と呼ばれるだけのことはあるのだと、悠真は深く安堵した。


「……よし、最終フェーズだ!」


 ドナが叫び、車外に向かって大きく手を振った。


「そこのお姫様と巫女のお姉ちゃん! 早く中に入って、お兄ちゃんの隣に座って!」


「わたくしたちが?」

「え、私ですか?」


 魔神と対峙し、疲労の色を濃くしていたセレスティアとリーファは、ドナのただならぬ気迫に押され、急いでスレイプニルの車内へと飛び込んだ。


「早く早く! グングニルの威力を最大まで引き上げるには、二人の強力な魔力波長でお兄ちゃんを挟み込む必要があるの!」


「なるほど、そういうことなら任せなさい!」

「はい、悠真様をお守りします!」


 ドナの真剣で「もっともらしい」説明を完全に信じ込んだ二人は、ドナの指示に従い戦車に乗り込んだ。


「よーし、二人とも、そのままお兄ちゃんの隣に座って」


 だが。

 ドナがくるりと振り返り、制御盤へ向かおうとしたその瞬間。


 悠真は見てしまった。


 ドナの口元が、ニチャァ……と、最高に性悪な『いつものいたずら顔』に歪んだのを。

(……っ! こいつ、また何か企んでるな!?)


「おいドナ! こんな時に、そんな場合じゃ……!」


 悠真はドナを叱りつけようと、勢いよく席から立ち上がった。

 しかし、その焦りが仇となった。


「あっ――」

 足元の、いかにも不自然な位置に這わされていた太い魔導ケーブル。

 それに靴の先端が、見事に引っかかったのだ。


 バランスを崩した悠真の体は、前へと大きくつんのめり――。


 そして、咄嗟にバランスを取ろうと前に突き出した両手が、彼の隣に座ろうと近付いてきた二人の少女の、最も柔らかく、最も神聖な部分へと吸い込まれていった。


「っ!?」

「ひゃんっ!?」


(ムギュゥゥゥッ……!)


 右手にセレスティアの豊かな膨らみ。

 左手にリーファの圧倒的な弾力。


 悠真は、二人の胸を両手で同時に、しかも全力で鷲掴みにしてしまった。


「な、ななな……っ! ゆうゆう!?」

「ゆ、悠真様ぁっ……!?」


 極限の緊張状態から一転、信じられないセクハラ行為を見舞われた二人は、顔をゆでダコのように真っ赤に染め上げ、同時に怒りの頂点へと達した。


「「きゃあ、えっちぃぃぃぃぃぃっ!!!」」


パシィィィィンッ!!!!


 セレスティアの右からの本気のビンタと、リーファの左からの渾身の張り手。

 二人の怒りがこもった「同時サンドイッチ張り手」が、悠真の両頬に完璧なタイミングで炸裂した。


「ぶふぅぅぅっ!!」


 悠真の体は、凄まじい衝撃と共に宙を舞い、後方の壁へと叩きつけられた。


「さすが凡人、計算通りね」


 悠真が床に崩れ落ちた瞬間、リリアーナが冷ややかに、しかし満足そうに呟いた。


「極度の羞恥と嫉妬、そして理不尽な痛み。……精神的ストレスによる不運エネルギーの急速増幅。完璧だわ」

「ナイスざぁこ! お兄ちゃん、最高のザコっぷりだよ!」


 ドナが嬉々として発射ボタンを叩き込む。


ズガァァァァァン!!!


 悠真の極大の不幸エネルギーを限界まで圧縮したグングニルの砲身から、漆黒の閃光が放たれた。


 一直線に飛んだ閃光は、災厄の魔神の強靭な巨体へと真っ直ぐに直撃する。


『グオォォォォォォ……ッ!?』


 今まで剣も魔法も全く通じなかった魔神が、初めて苦痛の咆哮を上げ、その巨大な体を大きくよろめかせた。


「やった! 効いてるわ!」


 誰もが歓喜の声を上げる中、魔神はバランスを崩し、ズシン、と地響きを立てて雪原へと倒れ込んだ。


 もうもうと立ち込める雪煙。


 果たして、この一撃で終わったのか。

 静まり返る戦場に、ヒリヒリとした緊張感だけが残されていた。

設定・イメージイラストは、ピクシブに掲載中です。

https://www.pixiv.net/users/119429388

評価・ブックマークして頂けると、とても嬉しいですわ。

毎週、火・金の夜21時30分に最新話をUPしてますの。

是非、お待ちしておりますわ♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の作品を読んで下さり、ありがとうございました ( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )୨୧
よろしければ、評価&ブックマークをして頂けると、とても嬉しいですわ。

毎週、火・金の夜21時30分に最新話をUPしてますの。
次回も是非、お待ちしておりますわ ♡ (ू•ᴗ•ू❁)୨୧

また、このラノベの設定資料やイメージイラストは、ピクシブに掲載中です。
イラストも是非、ご覧くださいませ ( ⁎>ᴗ<⁎ )୨୧
https://www.pixiv.net/users/119429388
カクヨムにも作品連載中、ぜひご覧ください。
『高安ゆき、13歳。AIじいやと小説をはじめますの ( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ ) ୨୧』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ