ご存知なんですか?
マスターの帰還と同時にやってきたのは
明王の知り合いでもある、謎の来店客だった!
爽やかになびく長い長い髪、キラキラとした笑顔。
そして、なんといってもただものじゃなさそうなオーラ!
言うことなしの百パーセントな美男子とは、まさにこのこと!
じゃなくて! この人が取材に来るとか言ってた人!?
「早速だけど、コーヒーを一杯もらえるかな? 喉が乾いちゃって」
「お前なあ……つくならもうちょいましな嘘つけよ。最初からそれが目的で来たんだろ?」
「さすが明王君、正解」
にこにこ笑いながら、よいしょとか言って客席に座る。
私達は慌てて仕事モードに切り替わった。
いくら急にやってきたよくわかんない人でも、お客はお客!
私達が外であれやこれやしていた内に、客が何人か来ていたのだろう。
食べた後の皿や汚れたテーブルを、私を含めた女子が吹く。
一方神宮さん達男子勢は、誰がコーヒーを作るかで口論していた。
「よし! ここは次期マスターのオレが! 王様の知り合いさんにご馳走してしんぜよう!」
「ごちそうも何も客前で作ったことないだろ」
「うわ、チューンひどっ!」
「相っ変わらず調子乗りやすいな、杉本は。やっぱ考え直すべきだったか」
「王様まで~!」
輝流さんが作りたいと駄々をこねるのも、二人は呆れように流す。
結果、いつものように神宮さんが作ることになったのは言うまでもなく……
「土坂。出来たぞ、ほれ」
「うわあ。ありがとう~いただきま~す」
のほほ~んとした声で言い、彼はコーヒーをゆっくり口にする。
何ともおいしそうに飲む姿は、こっちまで飲みたくなるくらいだった。
「暖かいね。おいしいよ」
「そうか。ならいい」
………………………………………
えっ、ええええええ!? それだけ!?
てっきり話を続けるのだとばかり……
というか感想すくなっ!!
「王様、その人もしかして天然?」
「もしかしなくても天然だ」
「庵さん、だっけ。よかったら、オレのも飲んでみてよ。王様から甘党だって聞いたから、オレなりに調節してみたよ♪」
相変わらず敬語は使わないんだなあ、輝流さんは。
いつの間に作ったのか、彼は自分のコーヒーを庵さんに手渡した。
庵さんは香りをかぎ、一口そそるとにこりと笑った。
「結構砂糖多めだね」
「えっ、マジ!? いれすぎちゃったかな~」
「水瀬ちゃんに苦いって言われたの、まだ気にしているのかな?」
いきなり私の名前が出てきて、びっくりする。
私自己紹介やってないよね!? というか、なんで輝流さんのコーヒーに私が関係あるんだ!?
「何の話や、リュウ。如月にコーヒー飲ませたことあるんか?」
「私達がいない時、ですかね」
「ああ。輝流が試しに作ったのを、水瀬に試食させたんだ。そしたら苦いってダメ出しされたんだっけ」
あ! 思い出した! ようやく尾上さんと打ち解けたあたり!
そういえばそんなこと、言った気もするなあ。
しょうがないじゃん、私辛い苦いまずいすっぱいものは苦手なんだから。
しかしそんな昔の話を、なんでこの人はコーヒーを飲んだだけでわかるんだ?
「土坂さん、でしたっけ。どうして、そのことをご存知なんですか?」
「分かるんだ、コーヒーが教えてくれるから」
うーん、もしかしてこの人……かなりの不思議ちゃん?
正直こういう人は苦手だなあ。ネタの参考にはなるんだけど。
「ちわ……っ……!」
そこに、裏口からやってきた斗眞君が顔をのぞかせる。
そういや……あの告白以来、顔を合わせるのは初めてだっけ。
うう……気まずいなあ。
とか思ってる私とは裏腹に、斗眞君は睨むように何かを見つめていた。
その先に、コーヒーを飲んでいる庵さんがいる。
「あれ、斗眞君。おかえり」
「……庵……」
にこにこ笑う庵さんをにらみつける斗眞君に、私達は動くことさえできなかった。
(つづく!!)
最近、第一部のものを拾っている内容が多いですね。
詳しくはそちらをみてくれるとありがたいです。
というか今回の内容からサブタイトルを探すのに、
めちゃくちゃ苦労したのはいうまでもなく・・・
次回、斗眞と庵の関係性が明らかに!




