表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/6

エピソード5:再会

奈津美からの連絡が途絶えた俺は、何となく気になる気持ちを抑えながら生活していた。

…が、結局気になって春樹に連絡を取ることにした。

音信不通になって約一か月。

もう9月も半ばだ。


奈津美のことが気になった俺は、仕事の昼休憩であったが…春樹に連絡を取ることにした。

その時気付いたのだが、合コンの時に作ったLINEグループから奈津美は退会していた。


『春樹、奈津美ちゃんと連絡とってるか?』

春樹からの返信は早かった。

『奈津美ちゃん?あの子のことは知らないけど…どうかしたか?』

その返信に対して、簡潔に事情を説明したLINEを返す。


『わかった。奈津美ちゃんを連れてきた女の子に聞いてみるよ。』

春樹からそう返信が来た。

『助かる』とだけ俺は返信し、まだ早いが喫煙所から自分のデスクに戻った。


「佐倉課長…最近、何かあったんですか?」

部下の三浦が、サンドイッチを片手に近寄ってきた。

「何で?」そう返すと、三浦は「課長、最近なんだか心ここにあらずというか…まあ、女の勘です。」そう言ってサンドイッチをかじりだす。


「女の勘…か」俺は苦笑する。

俺は奈津美とのことを簡潔に三浦に話し、「どう思う?」と聞いてみた。


「精神疾患…リストカットですかぁ…」三浦が考え込んだように呟く。

「自殺…なんてことはなさそうですか?」三浦が恐る恐る俺に聞いてくる。


『自殺』…その考えはなかった。

「あ、でもでもその前に入院してるとかですかもね!」と俺の表情を見た三浦が慌ててそう言う。


昼休憩終わりのチャイムが鳴る。

俺はもやもやした気持ちを抱えながら、仕事に戻った。



定時になり、仕事が終わると俺はスマホを確認する。

春樹からLINEのメッセージがきていた。


俺はそれを見てやや胸が高鳴った。すぐにメッセージを確認する。

『奈津美ちゃんを紹介してくれた子に連絡取ったんだけどさ、音信不通らしいぞ。』

『ただ、これまでも何回かこういうことはあったらしい。』

それがLINEの内容だった。


俺はそれに対して『わかった、ありがとう。』と短く返信をする。

そして俺は仕事用鞄をつかみ「お先に失礼」と部下たちに告げ、足早に職場を出た。



気付けば俺は奈津美のマンションに来ていた。

部屋のインターフォンを鳴らす。…応答はない。

もう一度インターフォンを鳴らす。…応答はない。


俺はドアノブに手をかけた。鍵は…開いていた。

「奈津美ちゃん…?」俺はドアを開けて中に入る。


…小さくすすり泣く声と嗚咽が聞こえてきた。

「奈津美ちゃん!?」俺は慌てて靴を玄関に脱ぎ捨て声の聞こえた方に向かう。


奈津美はユニットバスの便座にむかって、「おえっ…」と嗚咽していた。

何かを吐いたんだろう、吐瀉物の匂いが漂っている。


「悠斗さん、なんでここに…?」奈津美が息も絶え絶えな声でそう問うてくる。

「音信不通って聞いて心配になってきたんだよ!体調が悪いなら救急車を…」

俺がそう言ってスーツのポケットからスマホを取り出そうとすると、奈津美はそれを制止した。


「大丈夫です、ご飯を食べて…それを無理矢理吐いていただけなので。」奈津美が消え入りそうな声でそう言う。

そして言葉を続ける。

「太るのが…怖いんです。私は決して美人ではないから、せめて体型くらい維持しなきゃって…。」


確かに、奈津美は前述した通り不細工でも美人でもない。

…が、すらっとした165センチ程度の慎重にモデル級のスタイルをしていた。


「痩せすぎなくらいだよ…!」俺は奈津美にそう言った。

俺は鞄から未開封のミネラルウォーターを取り出し「とりあえず、これ飲んで。」そう言ってフタを開け、奈津美に手渡す。


奈津美は「ありがとうございます…」そう言うとごくごくと喉を鳴らしながら水を飲んだ。

『エピソード6:精神科』へ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ