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第三十八話 第四回戦の下準備

「うっわ、なにこれ。隙が無いじゃん。遠矢、これどうやって勝つの?」


 夕食を食べ終わり、遠矢とりりあは情報共有の為に一緒にマダラとリアンの対戦映像を眺めていた。

 遠矢はほんの少しだけりりあから有用な意見が出るかと期待したが、返ってきたのは平凡以下の感想。

 もう少しまともな返事は出来ないのかと遠矢は肩を落としながら、これからの方針を話す。


「いつも通り俺たちよりも強い相手で隙が無く、見つかると逃げられない。ならどうするか? 隙を作って見つからないように行動する。これしかない。そのために相手を挑発する必要がある。さて、老獪と思われるマダラと猫を被っていることを見抜かれるリアン。どちらが挑発しやすい?」


「リアン!」


 その答えには遠矢も満足して頷く。初対面でハゲ呼ばわりしても一切反応しなかったマダラに、あっさりと猫を被っていることを指摘されるようなリアン。どちらの方に精神的に隙があるのかは明白。


「挑発を任せても良いか? 協力が必要なら手を貸すが?」


「大丈夫! 悪魔猫の手を借りるから!」


 猫の手? と遠矢は首を傾げるもりりあは悪戯の許可が出たことに喜び、詳細な説明をせずに悪魔猫を探しに行ってしまった。

 気にはなるし、不安もあったが遠矢は他にやるべきことがあるため聞きには行かず、第四回戦の準備を始めた。




 第四回戦二日目。

 コロシアムの対戦画面のいくつかが眩く光で真っ白になっていた。


「ほう? 面白いことをしている。同じようなことを複数がしているな。……遠矢の策か、あれは?」


 組み合わせが初日で、早々に勝ったアラミタマが対戦画面を見ながら隣に座る遠矢に尋ねる。

 聞かれた遠矢は周囲を確認し、眩しいまでの輝きに驚いている他の観客を確認してから頷く。


「俺の世界の道具だ。強烈な光と音を発するだけで相手を怪我させるなどは出来ない道具だが、不意を突けばあのように僅かな時間だが目と耳を潰せる。その僅かな時間を利用して強化なり弱体化なり、状態異常をかけるなりして逃げれば戦闘能力は関係なくなる。後は早く、危険のないルートを事前に見つけておけば勝ちは揺ぎ無いものになる」


「うむ。不意を突ければ良い道具だ。ただそれだけに対処も容易。いや、容易だから自分には食らわぬと言えるが。そこはどう考えている?」


 遠矢の真意を探るようにアラミタマは聞くも。


「おっと、りりあに呼ばれているんだった。悪いな、道具の成果を見に来ただけなんだ。あれについて知りたいのなら渡した奴に聞いてくれ」


 答える気のない遠矢はそう言ってその場から逃げる。

 コロシアムを出る前にもう一度奮闘する反イケメン同盟のメンバーの様子を見て、その調子で派手に頑張れと遠矢は誰にも聞こえない声で声援を送った。




「あ、トーヤ。来たの?」


「ああ、気になってな。何をするつもりなんだ?」


 ダンジョン前。遠矢とりりあに無縁とも言える場所でりりあは悪魔猫を抱え、誰かを待ちながら隠れていた。

 待っているのはリアンだと遠矢でも分かった。ただそこから先が分からない。

 悪魔猫を使いどう挑発するのか。もしもこれからの参考になるのならと、遠矢は期待していた。


「そう難しいことじゃないよ。悪魔猫の特性を利用すれば余裕ですよ。むしろ悪魔猫を無視出来た遠矢の頭がおかしいって話で。あっ、来た」


 頭がおかしい扱いをされ、殴ってろうかと遠矢が考えたが運悪くダンジョンからマダラとリアンが出てきてしまった。

 おそらく気付かれてはいない。マダラの目は必要に応じて開くため、警戒していないときの視界は人と大差はない。


「仕掛けるのか?」


「いやいや、まだ早い。これからご飯かな? その辺りを狙う。まあ見てて」


 悪戯のプロ。りりあは悪魔なのだと遠矢は再確認することになる。


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