第三十五話 第四回戦ルール発表
「ああ、こりゃつまらないわ。真面目にやり合う価値もない。これはアラミタマの行動が正解だ」
「であろう。最初はどんな能力なのかと期待したが、種が割れれば笑い話にもならん。最後の光線は良かったが、あれだけでは。あの程度の相手に本気を出して情報を他に渡すより、負けた方がマシだと判断した」
今は第四回戦のルールと対戦相手が発表される少し前。遠矢はアラミタマの第三回戦の内容を見ていた。
アラミタマはリザに匹敵するほどの単身戦闘に特化した英雄だ。そしてフタクチの符術は攻撃と補助の両方が出来る優れもの。仲が良くない以外は弱点のないペアだ。
それが負けたと聞いた時は驚いたが、対戦内容とアラミタマの話を聞いて遠矢は納得した。
相手は天翼族の勇者。現在三勝と遠矢と同じ全勝組。結果だけ見れば脅威そのものだが、遠矢は今まで見たどの相手よりも取るに足らない相手と考えた。
それよりも情報を渡さず、負けを選んだアラミタマの方が恐ろしかった。
「ああ、聞いたぞ。第三回戦は遠矢が画期的な方法を使って戦い方が一変したと。教えてくれれば拙者も面白い方法を考えたのだが」
「お前に教えていたら俺の時にその作戦が使えないだろうが。自分で考えろ。いや、考える必要もない程強いだろうが」
それもそうか、と豪快に笑うアラミタマに遠矢は嫌そうに顔を背ける。
反イケメン同盟はメンバー内で元気な様子で話をしている。今までは勝てず、ポイント不足で明日を知れぬ身だった者たちだ。それが対戦情報の売買や勝利によるポイントを得て、活力を取り戻したのだ。
おかげで対戦情報の売買について今まで以上に力を入れてくれている。遠矢にとっては非常にありがたい結果となっていた。
「あー、時間ニャ。第四回戦のルールを発表するニャ。今回は勝利条件が今までと若干異なるから聞き間違えるとか、アホなことには気を付けろニャ。ミーに聞きに来たら殺すからニャ」
そうしていると正午になり、運営の猫による第四回戦のルール発表が始まった。
ただ最初に勝利条件の変更と聞き、誰もがざわつく。
そんなざわめきを猫は無視し、聞こえない奴が悪いとばかりに話を続ける。
「聞いてなくても知らんニャ。今回の勝利条件は定められた線を超えること。つまりレースニャ。勿論妨害はありニャ。対戦相手をどちらも倒せばその時点で勝ちとなるニャ。レースで勝つか、戦闘で勝つかは好きに選べばいいニャ。ああ、レースと言っても道はないニャ。第二回戦のサバイバル同様に自然の中を走ることになるニャ。今回は特別に対戦前でも自分らが走る場所を下見したり、実際に走ることも出来るニャ。環境に適応し、最適なコースを見つけろニャ」
道具の持ち込みは、と猫が未だに話している中、遠矢は笑いを抑えるのに必死だった。
戦闘要素があるとはいえ、まさかのレース。想定していた通り、遠矢が最も恐れていた戦闘のみのルールが終わったと言うこと。
今までに比べれば断然楽なルール。何せ相手を無視しても良いのだから。
「トーヤ、相手を見てください! ちょっとまずいかも……」
いつの間にか猫の説明も終わり、周りが第四回戦のルールに混乱している中、りりあが飛んできて対戦相手を見ろと言ってきた。
誰かやばい奴が相手なのかと恐る恐る遠矢が確認すれば、表示されたのは全く知らない種族。
多眼族の聖人と聖女。
「多眼族は洞察力に優れた種族です。その眼に死角はなく、非常に遠くも見えるとか。これは、もしかすると気付かれるのでは」
洞察力に優れた種族。そしてりりあの気付かれるのでは、という懸念。
遠矢はすぐに察した。
自分たちが英雄ではなく、ただの一般人と小娘のペアだと気付かれるのではないか。雑魚だと分かってしまうのではないかと言うこと。
雑魚だと気付かれてしまえば、今まで嘘とハッタリで築いてきたイメージ像が壊されてしまう。それを壊されてしまうと輝天祭で優勝することが難しくなる。
どうやら、神々は今までのルールよりもよっぽど凶悪は対戦相手を用意したようだった。
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