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第二十七話 秘密同盟

 基本的な淫魔は戦闘が苦手である。器用ではあるが非力な肉体をしているために。

 ただ魅了や毒、幻惑などの状態異常の魔法を得意としている。また相手に触れるだけで体力を吸収することが出来る体質の持ち主。


 それと淫らな行為が大好き。


「他には?」


「他にトーヤが知らない情報は、何だろうね? ほら、嫌いな奴のことなんて調べないでしょう?」


 第三回戦二日目、遠矢はコロシアムでりりあに淫魔について聞いていた。

 ただ聞かれたりりあもそれほど淫魔について知らず、出てくる情報は少し調べれば出てくるものばかり。


「でも一般的な淫魔の情報は必要? 相手は淫魔の突然変異の異常種。はっきり言って役に立たないと思う」


「……ああ、そうだな」


 りりあの指摘に遠矢はあまり興味を示さずに空返事をする。

 遠矢が見ているのは第三回戦の様子。

 誰もが円形の何の障害物のない闘技場で相手と戦っている。中にはギリギリまで扉を開けなかった者もいたが、ある程度時間が経つと強制的に闘技場へと弾かれていた。


 持ち込んだ武器で相手を追い込む者、土壇場で道具を取り出して逆転を測るもの。戦い方は様々。ただ誰もが全力を尽くしている。

 その様子を見て、遠矢は確信を得たように頷いた。


「ディック。ディックはいるか?」


「はい? どうしました、遠矢さん?」


「確かディックは五日目だったな? 手を組もう。内容は簡単だ」


 突然遠矢はディックを呼ぶと介入不可能の決闘のルールで手を組むと言い出した。

 何をおかしなことを、りりあは思うも遠矢の話を聞いて考えを改める。確かに手を組むことは出来る、ただ確実に想定されている使い方とは異なる方法だ。


「トーヤ、よくそんなことを思いつくね。悪魔だってそこまで極悪にはなれないよ」


「……なるほど。そんな方法が。確かに、可能ですね。遠矢さんの助力を得られるとなれば非常に魅力的だ。分かりました、手を組みましょう」


「この秘策はもう少し取っておきたかったが、相手が相手なのでな。惨たらしく殺すと約束しているんだ。ああ、俺の対戦が終わり次第同盟の皆に教えてやってくれ。何人かは勝てるようになるだろうからな」


 さてあいつを惨たらしく殺すにはどれが良いか、と遠矢とりりあは互いの世界の凶悪なものを探し、最終的に悪魔世界の方が凶悪と判明したため悪魔世界のものを使うことになったが。


「これなんてどう? 魅了耐性があって淫魔の匂いに反応する。あ、でも魅了耐性は必要ない?」


「……そういや、毒とか幻惑ってのはおおよそ想像できるんだが、魅了ってのはどうなるんだ? 知っているのなら出来る限り詳しく教えてくれ」


 あれやこれやと悩んでいるうちに遠矢がある疑問を抱いた。それは魔法を全く知らない遠矢だからこその疑問。ただりりあは魔法を使えるだけで詳しいわけではないので大雑把にしか答えられない。


「詳しくって言われても。魅了は魔力で相手の体内魔力を操って自分への好意を最大にまで引き上げる。だから相手の知能で効果が変わります。虫とか動物なら守るために周囲の外敵になりそうなもの、また同性がいれば攻撃します。ただ好意を抱かれているだけであって洗脳ではないので最終的には魅了された相手を襲うね。人など知能が高いと相手が喜ぶ行動を取ろうとして命令通りに動くようになりますね。……それが?」


「なるほど。まあ大したことではない。今回の対戦相手のこれまでの戦いを確認したんだがな、どちらも相手が仲間割れを起こしていたんだ。単なる口喧嘩程度だが、それ以降協力していなかったのでな。良いことを知れた」


 口喧嘩程度の仲間割れ。いくら輝天祭に参加できるほどのペアとはいえ、意思のある者同士、口喧嘩をしてもおかしくない。

 それを遠矢は重要と考え、りりあは気にも留めなかった。


 その答えが出るのは遠矢たちの第三回戦。ただその前に反イケメン同盟に驚くべき情報が入ってきた。


 第三回戦二日目。なんとあの単身戦闘型の英雄アラミタマがフタクチと共に敗北した。


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