↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/46

第二十二話 他の者の第二回戦

 第二回戦に勝った遠矢たちだが、そんな遠矢たちの前に、いや遠矢だけの前に意外な難敵が現れた。


「見ていて感動しました! 戦い方一つであそこまで圧倒出来るとは。今まで馬鹿みたいに真正面から戦っていた自分が恥ずかしいです」


「自分の得意な状況に持ち込んで、相手に振りを押し付ける。当たり前のことですが、非常に重要だと痛感しました。何より、相手が気付いた時には手遅れな策の嵌め方。勉強になりました」


「え、あ、ああ。うん。なら良かったよ」


 ルールへの対応が難しく、最も難関とされる初日を見事に乗り越えたことで遠矢たちの評価が上がり、反イケメン同盟のメンバーが増えた。

 それだけならば問題なかったのだが、新たに参加した者のほとんどが遠矢の戦いに感動した非戦闘型の英雄たち。そして今までのメンバーも遠矢の戦いを見ており、今遠矢は反イケメン同盟のメンバーに囲まれて質問攻めされていた。


 このような状況に慣れているはずもない遠矢は、りりあの方に行ってくれないかと内心期待を寄せているが、誰もが遠矢に群がる。

 それもそのはず。第二回戦の画面にりりあはほとんど映っておらず、彼らが感動したのは手足を縛られてなお自分が有利と堂々とした態度の遠矢である。何よりりりあ方面に乱入できる強い意志がある者がこの中にはいない。


 りりあの女子会は今やコロシアムの一角を占領するほどの力を持った。

 理由の一つはフタクチに渡した化粧品。女性のネットワークは恐ろしいもので、輝天祭という出来たばかりの場のはずなのにその根は広く深い。

 更に美味しいお菓子なども食べられるとなれば来ない女性は少ない。


 更にりりあが召喚した悪魔猫。あれも多くの女性の心を掴み、女子会の中心のテーブルにふてぶてしく座っている。


 ただ遠矢だけは知っている。あれがそんな優しい状況ではないと。

 周りにいるのは女性だが、誰もが輝天祭に選ばれた英雄。それに囲まれて悪魔猫に心休まる時間があるはずがない。あのように置物の様に座っているのは少しでも相手を刺激しないための術だ。


 それは遠矢も同じなのだが。


「おう。勝ったみたいだな」


 そんな遠矢の下に救世主が現れた。


「リザか。見ていたのか」


 大剣を背負ったリザ・クローケンだ。

 そのリザを恐れて遠矢を囲んでいた者たちが一斉に道を開けた。


「まあな。良く分からなかったけどな。それはまだオレがその強さを理解できてないからだろうけどよ。とにかく、お前が勝ったのが重要なんだ。お前を倒すのはオレなんだから、負けんなよ」


 言うだけ言って満足、とばかりにリザが帰ろうとしたが、遠矢が逃がすわけがない。


「ここに来るってことはどうせ暇なんだろ。座っていけ。ああ、それともあっちの女子会に混ざるか? 紹介してやるぞ」


 以前会った時は怖くて仕方のなかったリザだが、今の遠矢にとっては質問攻めを回避できる優秀な盾。盾を怖がる理由などなく、むしろ大切な物のように扱う。


「ざけんなっ! ああいうのは苦手なんだ。まだこっち方が楽で良いぜ」


 怒りながらも帰る様子のないリザに遠矢はほくそ笑みながら会話を続ける。


「リザはいつだ? 初日ではなかったよな?」


「三日目、明日だ。相手はえっと、確か」


「はい。私です」


 そう言って手を上げながら集団の中から現れたのはディックだった。

 知り合い同士、それも何となく勝敗を察してしまえる対戦に遠矢は気まずく視線を逸らす。


「……応援してやりゃ良いだろ」


「いや、結果が分かっているのに応援はちょっと」


「そんな! 酷いですよ、遠矢さん! まあ、私も勝てるとは思っていませんけど」


 アラミタマと同じ単身戦闘型の英雄と知っているのだろう、ディックは文句を言いつつも自分の運命を悟っていた。

 第一回戦、第二回戦と連続で化け物と当たることとなったディックの冥福を祈っていれば。


「あー、疲れた。おう、遠矢。第二回戦勝利おめでとう」


「アラミタマもおめでとう。見ていたが、大変そうだったね」


 今、第二回戦を終えたアラミタマがステージから戻ってきた。

 アラミタマの相手はグルガたちのような集団戦闘を得意とした指揮型の英雄。決して弱くはないが単身戦闘に長けたアラミタマ相手では分が悪い。

 そんなことは相手も分かっていたのであろう。彼らがとった戦略は持久戦。逃げて、逃げて、逃げまくる。そしてアラミタマたちが痺れを切らして挟み撃ちのために分かれたところを狙って片方を強襲。


 作戦自体は相手の勝ち。ただ環境が火山地帯で逃げるために体力を多く消耗していたのが痛く、アラミタマにあっさりと返り討ちにあった。


「拙者も、フタクチも追跡は苦手で苦労した。今度はもっと単純な者が良い。そして出来れば、そこにいるリザ殿のような強者であれば嬉しい」


「ふっ、受けて立ってやるよ。ただ、ここにオレより強い奴がいるがそいつは良いのか?」


「遠矢か? ……いずれは戦いたいがまだ時期ではない。もっと様々な相手と戦い、知恵を付けてもらってからの方が良い」


「……そうか、そうだな。戦って学ぶのはオレだけじゃないものな。遠矢も学ぶんだ。最後は、本選か。本選に出場しろよ、遠矢。そこで倒すからな」


 二人の化け物に狙われた遠矢はやけくそになって笑う。笑うしかない。

 しかしそれは外から見れば堂々と受けて立つ、と宣言しているように見え遠矢の評判がまた一つ上がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。