第十九話 教師
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山﨑さんが帰っていった。
山﨑さんが元の世界で教師に戻ると意気込んだは良いものの、異世界転移魔法を使うと記憶が消えてしまう。
このままだと元の山﨑さんに戻ってしまう。
俺は焦りながらも手紙を書いた。
手紙を書いたといっても5行ぐらいの短い手紙である。
山﨑さんに渡すと「クスッ」と笑いポケットにしまった。
心配しすぎだと思ったのかな。
それにしてもポケットにしまって後でちゃんと見てくれるだろうか。
「あ〜あ、あの人教師候補じゃなかったの?帰っちゃたわ」
「俺もまさか帰る選択をするとは思わなかったよ」
キシリカはチクッと俺を責める。
でも俺は悪くないよね。
「旦那様、それで教師はどうするのですか?」
「それについて、さっき思ったんだけど俺がやろうかなって思う」
最初は教師が捕まらなかったら「俺がやってもいいかな?」ぐらいの感覚だったが、さっき山﨑さんに教師に向いていると言われ決心がついた。
「あなたがするの?できるのかしら」
「出来るのかはともかく、旦那様は異世界人を元の世界に送る仕事があります。両立することはできるのですか?」
2人とも俺を信用していないようだ。
「異世界人は1ヶ月に1人、それも7日で帰る。それ以外は結構暇しているんだよね」
「それもそうね、あなたいつも家にいるもの」
「それはお前もだろ!」
俺とキシリカはほとんど一緒にいる。
俺はいつ異世界人が来てもいいように待機しているし、キシリカも孤児院の責任者なので出来るだけ離れることはできない。
別に引きこもりとかではないからな。
「俺は出来るだけ先生をするよ。もし異世界人がきたら分身で対応する。でも、もしもの場合は2人を頼ってもいいかな?」
「当たり前よ、なんなら私も先生になるわ!」
「私も今なら先生になれるほど知識があるので任せてください」
キシリカはこう見えて学校では好成績なので文字と計算を教えるぐらい簡単だし、茉莉奈も元々の頭がいいので先生はできるだろう。
2人が協力してくれるなら安心して教師ができる。
「よし!やってやるぞー!!!」
「「おー!!!」」
こうして学校設立の準備が整った。
◆◇◆◇
学校設立の準備が整ったが、俺の教師としての準備は整っていない。
俺は急いで何を教えるのかをまとめる。
誰かに何かを教えるのなんて初めてだ。
そこで師匠と他2人の先生と話し合うことにした。
「師匠たちはどうやって教えるか決めました?」
「もちろんよ、就学時期は1年で7日に2日は休みとしたら、どっちも1日1時間ほど教えればいいと思うのよ、それに夏休みと冬休みを入れると大体100回ほど授業がある。だから教えなければいけないことを100分割すればいいの」
「なるほどね、そうやって計画を立てるのか」
「この学校は初設立だし、他の学校とは形式が違うから大変よね。でも何とかなるわよ」
師匠はいつも通り軽く返事をするが、どうやって教えていくのかはもうまとまっているのだろう。
それに他の2人ももう準備が整っているようだ。
「エルは教師をやるのは初めてだから不安よね、こういう時は師匠を頼るものよ。あなたが私より魔法が使える様になった時に言ったでしょ?エルが何歳になっても私はあなたの師匠よ」
「そうだね、久しぶりに師匠を頼ってみようかな」
「ハハハ、相変わらず生意気ね」
「えへへ」
久しぶりに師弟関係に戻った俺たちは夜まで話し合った。
しかし、調子に乗った師匠はお酒を飲み、酔ってしまい無駄話ばかりしていたので教師としての話は次の日からになってしまった。
◆◇◆◇
少し経ち、遂に入学式の日がやって来た。
孤児院以外にも平民なら誰でも入れるように設定したのでたくさん来ると思っていたが、意外にも120人しか集まらなかった。
「俺の予想だともっと応募してくれると思ったけどな」
「実績のない学校だとこんなものよ」
なるほど、前世でもどんなに有名な学校だろうと大会に優勝したら大きく宣伝していたことを思い出す。
「そうだね、これからか」
「そうよ!」
ここで校長に任命されたキシリカがやって来た。
任命されたと言っても任命したのは俺だけど。
それでもキシリカは喜んで引き受けてくれた。
「頑張ってくれよ、校長先生」
「任せなさいよ!」
ここで、入学してくる生徒が体育館の様な建物に揃った。
全員緊張している様だ。
皆、無駄話をせず黙って座っている。
「貴族の学校とは違うな」
「そうね」
貴族用の学校ではほとんどの者が知り合いなので、派閥がその時点でできている場合があり、こういった祝い事は騒がしくなる。
なので、これから友達を作る子達を心の中で応援してしまう。
こいう考えをする時点で俺はもうおじさんなのかもしれない。
そう考えていると入学式が始まった。
「それじゃあ、校長先生の初仕事頑張ってくれ」
「任せなさい」
入学式と言っても校長先生が挨拶をするだけだ。
貴族の学校なら入学試験の1番成績が良かった生徒も挨拶をするが、入学試験などないのでそれはしない。
「皆さん、入学おめでとうございます。私は校長を勤めているキシリカ・リン・シュトレントです」
キシリカの挨拶が始まった。
いつもと違う真面目なキシリカにちょっとドキッとする。
「あなた達が一歩踏み込みこの学校に入学を決めたことに私は嬉しく思います。これからあなた達が何を成すのか、誰と出会うかはあなた達次第です。私たち教師はそんなあなた達の手伝いをするだけで、何をしようがあなた達のやりたい様にしなさい。しかし、私たちはイジメや差別だけは許しません。もしそれを行なった生徒はどんなに優秀な生徒でも追い出すので肝に銘じてください。私からは以上です」
校長先生のスピーチとしては短いと思うが、キシリカらしいスピーチであった。
俺とキシリカの教育方針に対する考え方が同じだったので嬉しく思う。
「それじゃあ行きますか」
「そうね」
入学式が終わったら次は各教室で教師の紹介だ。
こうして、俺は師匠達と一緒にそれぞれの教室に行くのであった。
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