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06 防具屋レディ:ファーガス

女の子の買い物は長くなりますよね。

服を選ぶならなおさら。

服っていうか、防具ですが。

「次は防具屋だな。」


「うん、えーとね。防具屋レディ:ファーガス。」


「・・・おい、本当にその店に行くのか?」


「え?どうかしたの?」


青ざめた顔で後ずさるケルディにロディは首をひねる。


「俺はその店の店主が苦手なんだ。」


「そうなんだ。私、あんまり行ったことないみたいで、道を覚えてないんだよね。なんだか、大きな女の人だったと思うんだけど。せめて店の前まで案内してくれないかなぁ。」


「・・・店まではつれていってやるよ。中にははいらないからな。」


「うん。」


ケルディの恐れように、いったいどんな人なんだろうかとロディは首をかしげていた。



「ここだ。」


ケルディが指差した店には、確かにピンクの文字で『防具屋レディ:ファーガス』と書かれていた。


「ピンクの看板なんて、かわいいね。」


「そんな感想をもつのは、ロディが女だからだろうなぁ。俺はあそこの酒屋にいるからな。」


そういうと、ケルディはさっさと酒屋へ歩いていった。よほどこの店に関わりたくないらしい。変だなあとロディはピンクの看板の下の扉を開いた。


「こんにちはー。」


「いらっしゃーい。さて、どんなものをお求めにいらしたのかしら?坊や。いいえ、お嬢さんね。」


店の奥から出てきたのは、ケルディと同じぐらい大柄で、野太い声で、腕が丸太のように太い、紫のふりふりのドレスを着た人だった。茶色の長い髪がくるくると巻かれ、口紅を紅く差している。ロディはきょとんと目を見開いた。


「・・・えっと、今の防具より、動きやすくて頑丈なものがほしい。」


「そうねえ、革の防具には魔法陣は書かれてないのね。それに魔石もついてない。本当に軽装備ねぇ。安さに関しては一番だけど。よいものにしようとすればいくらでもあるけれど、予算はいくらなのかしら?」


「これぐらいで、全身の装備、揃えられる?」


袋の中に入ったたくさんの硬貨を見て、店員は驚いた。


「まあ、お嬢ちゃんこんなに高額なお金、どうやって手に入れたのかしら?貴族の出身ではなさそうだし。誰かからもらったの?」


「王都まで旅している間に倒した魔物を換金したら、けっこうな金額になって。これはその一部だから大丈夫。危ないお金じゃないよ。安心して。」


ロディがにこにこと事情を話すと、店員はがしっとロディの肩をつかんだ。


「まあ、こんな華奢な体でこれほど高額になるくらい魔物を倒したっていうの?!すごいじゃない!!・・・でも、そんな噂、最近じゃあ聞いたことないわ?」


店員が首をひねると、ロディは苦笑いした。


「そりゃあ無理よ。だって私、今日王都に着いたんだもの。」


「まあ、それは噂にはまだならないわね。失礼したわ。でもすごく強いのね。感心しちゃったわ。よかったら、名前を教えてちょうだい。私はこの店の店主、レディ:ファーガスよ。」


「あ、店主さんだったんだ。私はロディスティルリー=アポロス。ロディって呼んでくれると嬉しい。」


「ええ、わかったわ。ロディ。」


二人は互いに手を握り合うと、ロディの手がすっぽりとファーガスの手に包まれた。


「ロディ、あなたの装備ならかなりいい物が買えるし、普段着だって買えるわ。それに今日ここに来たばかりなら着替えや寝間着もいるでしょう?いろいろおしえてあげるわよ?」


「本当?!助かる!!」


二人はきゃっきゃと女子トークを繰り広げ、気付いたときには夕方になっていた。


「本当にありがとう、ファーガスさん!」


二人ともにこにこして話をしている。


「こちらこそ、たくさん買ってくれてありがとう、よ。それにしてもすごく楽しかったわ。またおいでなさいね。買う物無くても、話しに来てくれても嬉しいわ。」


「うん、わかった。いろいろありがとー。またねー。」


ロディは急いで店をでた。辺りは夕日でオレンジ色に染まっていた。


「あっちゃあ。とっても楽しく買い物してたら、結構な時間がたってたんだ。ケルディさん、怒ってるだろうなぁ。」


ロディが駆け足で酒屋に入ると、カウンターにケルディと数人の男が座っていた。


「ケルディさん、遅くなってごめんなさい!!」


呼ばれたケルディと他の男たちが振り返る。


「おお、無事に帰ってきてよかったぜ。」


ケルディは安堵の表情をロディに見せる。その隣の長髪のローブの男が苦笑いで話す。


「ああ、彼女に捕まるとなかなか出られないからな。夜になる前でよかったよ。」


「本当に、『レディ』になる前の『ミスター』のころの方がもっとよかったんだが・・・」


逆側に座っていた町人らしき男が付け足した言葉に、ロディは首をかしげた。


「ミスター?ファーガスさんの旦那さん?」


「いやいや、あの人男だから。」


町人らしき男は顔の前で手を横に振る。


「でも、レディでしょ?」


「いや、元男。」


「ええ?!私、下着や寝間着や普段着の相談しちゃったんだけど。」


「「「ええ??」」」


4人は驚愕のあまり、叫んだ。が、一番に落ち着いたのはロディだった。


「まあ、いいか。買ったのは普段着だし。」


「いや、防具屋で普段着買うな!普通の服屋に行けっ!!」


「うん。だから普通のお店も教えてもらったよ。」


と、ロディはメモ帳を見せる。


「おい、あの嬢ちゃん、大丈夫か?」


「すごく心配なんだが。」


「あいつの常識は英雄だからな。ぶっとんでても仕方がないのかもしれない。」


「英雄の常識は俺たちの常識とは違うらしい。」


男達は、がっくりと肩を落とした。

設定6

防具屋レディ:ファーガスは英雄御用達のお店。ロディアックたち男性陣は店主のレディ:ファーガスに言い寄られるので非常に苦手だが、仕事は超一流なので重宝していた。妻のティエリーたち女性には人気がある。即女子トークが始まる。きゃっきゃと楽しめる防具屋として有名。ティエリーが推薦した防具屋である。もちろんロディアックも男の店より安心で安全であると思っている。

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