05 武器屋ルーベイにて
・・・闘えない
楽しんでもらえると幸いです。
「じゃあ、まず武器屋に行くか。」
「うん。あ-、ちょっと待って。」
ギルドから出て、二人は武器屋に行こうとしていたが、ロディは立ち止まってかばんの中をごそごそと探している。ロディのかばんは空間魔法としての部分と普通のかばんとして使える部分がある。かばんの中をあさり、メモ帳を取り出した。
「なんなんだ?」
ロディがメモ帳をめくっているのを、ケルディがのぞきこむ。
「父さんたちがよく行ってた鍛冶屋さんの名前と行き方。えーと、『鍛冶屋ルーベイ』。ああ、おじーちゃんのとこだ!!」
「ルーベイのおっさんところか。あそこは一流の冒険者じゃないと武器を作ってくれないって評判だぞ。って、おじーちゃん?」
目をキラキラさせたロディに、驚いてケルディが尋ねる。
「うん、おじーちゃん。たまに遊んでもらってた。で、父さんの剣を直してもらってたよ。」
「あのじーさんに遊んでもらってたのか。すごいな。さすがは英雄。一流の冒険者だな。」
「でも、道はあんまり覚えてないなぁ。あっちのほうだったと思うけど。」
「ああ、合っているぞ。ついてこい、案内してやる。」
「ありがとー。」
てくてくと道を歩いている。往来は意外と人が多い。肩は触れないが、行き交う人の波に乗りながら歩かないといけない。突然、目の前で走っていた男の子が袋を持っていた女の子にぶつかった。周りに袋の中身が転がり出る。男の子が走ってこっちに来る。ロディはするりと男の子の横を通り過ぎると、女の子が落としたものを一緒に拾ってあげた。
「はい。」
「ありがとうございます。」
ロディが拾ったものを受け取ると、少女はお礼を言った。
「それから、気をつけてね。」
ロディはお金の入った巾着袋を少女に差し出す。
「え?あれ?」
少女は腰につけていた袋を見て驚く。
「街を歩くときは危ないから、気をつけて。」
ロディはにっこり笑うと先で待っていたケルディに向かって歩き出した。
少女はぼうっとして、また他の人にぶつかって謝っていた。
「おい、スリ返すのはいいが、目をつけられたな。」
「あ、やっぱりわかっちゃったんだ。」
「当たり前だ。まあお前みたいなカモられそうなガキの冒険者はそんなもんだ。お前なら返り討ちにできるから心配はいらなそうだな。」
「まあね。」
呆れたように言うケルディに、ロディはまんざらでもなさそうな顔をしてみせた。
二人がたどり着いたのは横道に入ったこじんまりとした看板のある「鍛冶屋ルーベイ」。外から見てもたくさんの武器が飾ってある。
「こーんにーちはー!おじーちゃーん、いるー?」
ロディが店のドアを開けたと同時に呼び出した言葉に、ケルディは慌てる。
「おい、店の主人になんてことをいうんだ。」
「おー、その声はロディちゃんかい?」
店の奥の方からのそのそとロディとケルディのちょうど間ぐらいの背の高さの初老の男性が姿を現した。煤で顔が汚れている。
「ひさしぶり、おじーちゃん。」
「ああ、元気そうじゃのう。今日はロディアックはどうしたのじゃ?」
ロディの顔を見て、柔らかく微笑む店主のルーベイを見て、ケルディは驚愕した。「一流の冒険者じゃなけりゃあ、俺の武器は売らねぇっ!」と豪語していた爺の変わりように、開いた口がふさがらなかった。
「おじーちゃん、私、今日から冒険者なんだよ!ほら!」
ロディは冒険者の腕輪をルーベイに見せる。
「おお、ようやくなれたか。ようがんばったのう。よっしゃわかった。ロディちゃんに合う武器を見繕ってやろう。」
ロディはルーベイに、ショートソードと弓矢、短剣を見せた。
「そうか、そうか。ロディちゃんは弓を使うのじゃな。ああ、この剣は研ぎが必要じゃのう。・・・そうじゃ、これを使ってみなさい。」
ロディは店の奥から出された剣を掴んだ。
なんだか腕になじんでいる気がする。軽く振り回しても軽すぎず、重すぎない。装飾も華美にならない程度にあり、切れやすそうである。
「わあ、すごく使いやすいよ。」
「そりゃあいい。魔法を通しやすい素材じゃからうまく使うんじゃぞ。」
ロディが嬉しそうに剣を持っていると、ルーベイが説明する。
「それから、弓じゃのう。今はそのままがよさそうじゃのう。うちにおいているのはロディちゃんに合わないだろうよ。」
「そうかあ、わかった。ショートソードの研ぎはいつくらいになるかな」
「そうじゃの、明日にでも渡してやろう。」
「分かった!」
ロディは新しい剣を腰につけると、代金をルーベイに渡す。
「多いぞ。」
「剣を選んでくれたお礼。また、来るから。」
「わかった。またおいで。」
「ありがとう!」
ロディは笑顔でお礼を言うと、未だ呆然としているケルディを店から連れ出した。
「お前、あのじいさんの孫か?」
「ううん。でもよく遊んでもらってたから、ずっとおじーちゃんって呼んでる。」
「・・・あんなに簡単に選んでもらえるなんて。・・・なんてうらやましい。」
「お願いしてみようか?」
「・・・いいや、止めておく。自分で一流の冒険者と認められなけりゃあ、意味がないからな。」
「ケルディさん。かっこいいなぁ!」
「大人をからかうんじゃないぞ。」
ケルディはロディの頭を軽くこづいた。
設定5
英雄ロディアックは子どもできると王都をメインに活動。
妻ティエリーは子どもが大きくなると人に預けて一緒に活動。
その間、ロディはギルドに預けられたり、宿屋に預けられたり、なぜか武器屋に預けられたりといろいろな人にかわいがられていた。
おかげで人脈が広い。
たまに抜け出して、近所の子と遊んでいた。
スリの子と仲良くなり、なぜかスリの技をいつのまにか伝授されていた。
両親も知らないうちに着々と妙な技を手に入れてきています。




