48 お別れ
おひさしぶりになってしまいました。
幕間のような部分なのですが,次を早めにできたらと考えています。
楽しんで頂けると嬉しいです。
日が昇り,大量の魔物の処理を終え、村人からお礼を言われたり、後片付けをしたりしていたが、地方騎士団に大量の魔物が押しかけてきたことを報告しなければならず、マリアンネたちはすぐに村を出発することにした。村人が近所の町まで行くよりも、マリアンネたちの商隊の方が安全で確実だからだ。
「ふあ~あ、ねむぃ。」
馬を走らせているグリーは大きな欠伸をしていた。その隣にいたフィズも欠伸をかみ殺していた。
「早く終わらせて、まともに寝たいぜ。」
「まだ当分先だな。」
二人は照りつける太陽の光に目を細めながら、軽口を躱して護衛を続けていた。
馬車の中では,ロディとマリアンネがウルフの毛皮を見ながら話をしていた。魔物をかばんに入れ,いくつかをきちんと処理していたロディは、その中から綺麗なものをマリアンネに見せていた。
「これは毛並みがいいわね。そうね、首巻きに仕立てようかしら。」
「マリアンネさんがデザインしたら、かっこいいのができそうだね。」
「ふふ。まかせなさい。こっちは・・・大きいから上着にいいかも。まあ!!」
とつぜん、声を大きくさせたマリアンネに,ロディは見ていた毛皮から顔をあげた。
「なあに?マリアンネさん。」
「この色、もしかしてブラッドウルフ?なんて美しい黒!!」
マリアンネはうっとりと毛皮を見つめてなでていた。ロディはきょとんとしていたが、毛皮をなでてもふもふしているうちに、くたっと寝てしまった。マリアンネがはっと気が付いたときには、毛皮に埋もれるようにしてすやすやと寝ているロディの姿があった。
「うふふ。夜通し闘ったんだものね。寝ているときもかわいいわぁ。うちで働いてくれたらいいのに。」
マリアンネはロディの頭をなで、馬車の外をちらりとのぞいた。護衛達の様子から特に何もないことがわかり、マリアンネは微笑んだ。
「おやすみ、かわいい冒険者さん。」
隣町につくと,コーフィットたちが町にある騎士団の詰め所へと連絡を入れ、地方騎士団へと話がつながるようにできた。とはいえ、マリアンネたちが向かうルットステンはまだ先である。隣町で今日は休むことになった。まだ昼を過ぎたあたりだが,このまま次の町まで何があるかわからないので,睡眠不足なままは危ないということで宿を取ることにしたのだ。
次の日,再び馬車で進み出す一行。相変わらずロディはマリアンネの馬車の中でおしゃべりをしていた。
ロディはさすがに申し訳なくてグリーたちに相談したのだが,
「お嬢さんと仲良くなっとけば,なんかあったときに楽だろ。」
「そうそう,とくにコーフィットたちとはなぁ。」
「ロディ,どうせ馬もないから馬車だろ。年下は守られておいて,ここ一番ってときに力を発揮したらいいんだ。歌物語にもあるだろ,三銃士の末っ子役。ちゃんと休んで俺たちが危ないときに助けてくれよ。」
そう言われてはどうしようもできないことに気付き,ロディは気を取り直してマリアンネとの会話を楽しむことにした。
そんなこんなで10日ほど過ごし,目的地のルットステンへとたどり着いた。
「あ~、もうロディとお別れなんて寂しいわ。」
「うん。私もマリアンネさんとお別れは寂しいけど,また会おうね!」
ロディがにっこり笑顔をみせると,マリアンネもふんわりと笑ってみせ,グリーたちに視線を向ける。
「ええ。貴方達もありがとう。これからの健闘を祈るわ。」
「ああ。無事に終わってよかった。あんたもいい商売ができることを祈ってるぜ。」
マリアンネたちと別れの会話を済ませると,グリーたちは歩き出す。ロディはそれを追って尋ねた。
「ねえねえ、どこへ行くの?」
「ん?冒険者ギルドに行くんだ。とりあえず、寝床と次の仕事がいるだろ。」
フィズがロディを振り返って応える。
「コーフィットさんたちは?」
ロディは先を歩いているコーフィットたちに目を向けると、グリーが肩をすくめた。
「別にいいだろ?お互い仕事が終わったら関係はなくなるからな。どうせ、行き先は同じ冒険者ギルドだ。報告しないと、報酬がもらえないだろ。」
「そっか、そうだね。」
「さ、ギルドに行って,飯屋と寝床を確保しようぜ。」
ジェインがロディの頭をぽんとなでると四人はギルドへと向かって歩いた。
「報酬ももらったし,寝床決めに行くか?」
ギルドでの報告を終えると,ジェインがみんなに問いかける。
「その前に飯食おうぜ。」
「うん、お腹減った~。」
グリーとロディがグ~とお腹の音を鳴らしていた。
「いや,先に寝床を決めておこう。宿屋がいっぱいにならないうちに。」
ジェインが言うと,グリーが不満そうに口をとがらせる。
「えー、腹減った。」
「前に先に食べてたら,宿屋がいっぱいになって結局馬小屋にも泊まれずに,広場で野宿してたら見回りの騎士から注意されただろうが。さっさと宿取るぞ。」
グリーの様子にフィズがくすくすと笑いながら,ロディの頭をなでる。
「さあ、行こう。」
フィズに言われて,ロディは頷いてグリーを見ると,グリーも仕方なさそうにジェインの歩いた方へと歩き出した。
設定48 地方騎士団
地方騎士団は王都以外の都市や町に詰め所が置かれている。
領主毎に領主軍がなく,地方騎士団が各領毎に設置される。
命令系統は頂点に国王がいるものの,普段は領主に指揮権があり,王と領主から地方騎士団○○領団長が選ばれ,統率する。
そのため,地方騎士団同士に連絡が取りにくいため,定期的に地方騎士団の集まりが王都で開かれ,情報共有がなされる。




