47 後処理
楽しんで頂けると幸いです。
「ええ?!なんでマリアンネさん、外にいるの?」
駆けつけたロディたちが見たのは、護衛たちと共に闘っているマリアンネの姿だった。とはいえ、マリアンネは宿の二階の窓から魔法を使って攻撃しているのだ。護衛達が魔物を切り捨て、遠目にいる魔物へとマリアンネが魔法で水の矢を放っている。
「ウォータースピア!!・・・あら、ロディ!無事だったのね。よかったわ。」
マリアンネはロディの声に、視線を動かし、ロディをみつけて微笑んだ。魔物に向かって攻撃しているマリアンネの姿は凛々しく、とても馬車の中にいた人物とは思えない。驚いていたロディたちだが、すぐに気を取り直して、護衛たちに加勢し始めた。そんなに数も多くなく、すぐに全て倒しきった。
「みんな、無事かしら?」
二階の窓からマリアンネが声をかける。
「ええ、お嬢様。数名が怪我をしていますが、すぐに治療できるでしょう。」
護衛のリーダーが応えると、マリアンネはにっこりと微笑む。
「それならよかったわ。すぐに治療を始めなさい。冒険者方はどう?」
「こちらも問題ない。あんたがたが無事で何よりだ。」
「ふふ。助かったわ。」
「ねえ、ねえ、マリアンネさん!戦えるんだね!!」
「ふふ。ばれてしまっては仕方ないわね。旅の商人なんだから魔物に出会うのは当たり前なのよ。だから魔法も使うし戦うわ。だけど、一応女の子だから隠してるのよ、戦えることを。そのほうが、かわいいでしょ♪昼間はできるだけ護衛に任せて、闇夜の危険なときには私も参戦しているの。」
「戦ってるときのマリアンネさん、かっこよかったよ!!」
「うふふ、ありがとう。・・・ここにはもう魔物はいないみたいだけど。もう殲滅したのかしら?」
「えっとね、まだ村の外で戦ってる人がいるはずだよ。」
「ロディ、お嬢さんとの話はまたあとにしよう。・・・俺たちは村の外の闘いに加勢しに行く。もうしばらく待っててくれよ。」
「ええ、わかったわ。よろしく頼むわね。」
グリーがロディの頭をぽんとなで、マリアンネと会話すると、四人は再び村の外へと向かう。
「ちっ、意外とやるな。」
「この国って騎士団が多くて困るから小さな村からしてるのに。なんで冒険者だけで防がれるのかしらねぇ。」
森の中から村の様子をうかがっている男女の姿があった。二人は黒いローブを身に纏い、森の闇に隠れている。男の手にはなにやら怪しい魔道具があり,にぶく光っていたがだんだんと弱まっていた。諦めたかのような女の言葉に、男も肩をすくめる。
「まあ、ウルフたちじゃあやられるのも仕方ないが・・・」
「普通の村人ならウルフでいけるのに。運が悪かったわね。」
「またあいつに頼むのは嫌だが致し方ない。」
「うふふ、まあがんばって。私はまた別の方から企てるわ。」
「お前にできるのか?」
「やってみせるのよ。うふふ。」
二人は森の闇に静かに消えていった。
「コーフィット!そっちは終わったようだな。」
グリーたちがまた村の外に戻ってくると、最後の一匹をコーフィットが叩き斬っているところだった。
「ふん。」
「ああ、グリー。そちらも終わったんだな。」
コーフィットはグリーを見るもそっぽをむく。かわりにエンジェが応える。
「村の中も見てきたが、もう大丈夫そうだ。」
グリーの言葉に、エンジェは目を見開き、ふっと笑った。
「そうか、そっちも行ってくれたのか。よかった。・・・魔物の処理の方が大変だな。」
「そうだな。」
二人は目の前に広がる魔物の死体の山を見つめてうんざりと目を細めた。
「全部燃やすか?」
「一体一体処理していると日が昇りそうだな。」
「グリー、全部入れるよ~?」
二人はロディの声が聞こえた方に向くと、ぽいぽいとかばんに魔物を入れていくロディと、ロディの方へ魔物を投げているシン、レン、セン、ジェイン、フィズの姿があった。
「全部って、おお!ロディのかばん、便利だな~。」
「・・・確かに。」
しみじみと二人はその様子を眺め、互いに目を合わせると、自分たちもロディの方へ魔物を投げ始めた。
「おいっ!魔物の処理をしろよ!俺たちの獲物だろうが!」
一人魔物の処理をしていたコーフィットが周囲の様子に気付き、怒鳴ると、エンジェが顔を上げて声をかける。
「コーフィット。ここで処理していてはどれだけ時間がかかるかわからない。その間に他の魔物がにおいにつられて来られては困る。一度彼女のかばんにしまっておけば、彼女のかばんの先にためておける。そこから出して少しずつ処理した方がいい。」
「俺たちの獲物だぞ!!」
エンジェの言葉にぐっとつまるも、コーフィットは煮え切らないようだ。
「だからこそ、この村に迷惑はかけられないだろう?そんなに気になるならこちら側にある死体の数を数えておけばいい。」
「ぐっ。・・・勝手にしろ!」
コーフィットが黙々と死体の処理を続ける様子を見て、エンジェはくすりと笑って立ち上がった。
「すまない。」
「いや、そっちはそっちで処理してくれるのは助かるからな。頼むぜ。」
グリーは片手をあげてエンジェに応えると、エンジェは頷いてコーフィットの隣へ座り込み、死体の処理をし始める。
「何で来た?」
「一人ですることないだろう?」
「俺一人で十分だ。」
「ははっ。俺がしたいから来たんだ。気にするな。」
「ふん。」
黙々と死体の処理をする二人の周りを,ロディたちはかけずり回っていた。魔物をかばんに入れ、ロディが精霊に頼んで風でにおいを吹き飛ばし、フィズが土地の浄化を施した。途中で村の中の人へもう大丈夫だと連絡し、マリアンネたちにも伝え、全てが終わったのは、空が明るくなるころだった。
設定47 魔道具
魔石や魔術陣、からくりや仕掛けを施した道具。誰でも魔法が使えるようにしてある道具。使用者を限定するものもある。ただ、制作するには魔術陣などを用いるため、数は多くない。付与された武具とはまた異なる。




