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46 魔物の討伐とプライド

楽しんで頂けたら幸いです。

フィズの声が響き渡る。


転がったロディの上にノワールウルフがさらに追撃を仕掛けてくる。ロディは転がっても剣を手放さなかったが、起き上がることもできない。ノワールウルフを睨みつけ、ロディは魔法を放った。


「インパクト!」


とたんに、ノワールウルフが衝撃で後ろに吹き飛ばされる。ロディも爆風でころころとさらに後ろに転がってしまう。


「大丈夫か?!」


ロディがようやく立ち上がるころには,フィズが駆け寄り、ジェインとグリーがロディの周囲に魔物が進まないようにうまく誘導していた。


「うん。ごめんね、フィズ。」


「何を言っているんだ。お互い様だろう?無理をするな。治療しよう。」


「ううん、大丈夫だよ。転がっただけだから。」


「本当か?そうならいいが。」


フィズはロディに手を貸しながら様子を伺う。痛みをかばう動きも見られず、フィズは頷く。


「ありがと、グリー、ジェイン。」


「このくらい当然だぜ。」


「無事でよかった。」


ロディは剣を持って再びノワールウルフたちに立ち向かう。ロディをかばっていたグリーとジェインも元気に動く様子を見て、ほっとしながら応える。

ロディはジェインとグリー、フィズのかばい合う闘い方にうらやましく思いながら、剣を舞うように振るう。そのたびに、ブラッドウルフ、グレイウルフ、ノワールウルフたちの断末魔が響く。


ふと、終わりのないかのように見えた魔物の様子が変わる。ロディは闘いつつも、魔物の数が増えていないことに気づいた。ここから村へは通していないが、他の場所はどうだろうか、ロディは目の前の的に精一杯だったことに気付き、精霊に声をかける。


「ウーディさん!村の人や、マリアンネさんたち、コーフィットさんたちが無事か教えて。それに魔物はこれ以上増えないのか、どこかに隠れていないか教えて!」


「ふむふむ。よいぞ。少し待て。・・・ふむふむ。村の中に何匹か入ったようじゃの。村の若者ががんばっておるようじゃ。・・・商人たちも、護衛ががんばっておるのじゃろう。宿も無事のようじゃぞ。・・・冒険者は苦戦しておるようじゃな。・・・魔物はこれ以上はおらぬのう。・・・魔物は。」


精霊の言葉に、ロディは破顔した。


「そっか、じゃあこれを乗り切ったら勝てるね!」


笑顔で剣を握る手に力をいれる。もう少し、と思えばロディはさらにやる気がでたのだ。精霊の意味深な言葉には気づかず。



 それからしばらくして、ロディたちは周りにいた魔物を全て屠り終えた。


「っふうっ。やりきったか・・・。」


グリーが最後の魔物を切り捨て、したたる汗を拭いながら顔をあげた。


「まだだ。コーフィットたちが闘っている。」


周囲の様子を見ていたフィズがコーフィットたちの方を見た。ロディが走り出そうとする。


「待てよ、俺たちも闘いっぱなしだ。少し落ち着け。」


ジェインがロディの服を掴んで引き留める。


「でも、急いで助けないと!」


「大丈夫だ。俺たちがやりきったのに、あいつらができないことないだろ。それに、俺たちが助けに行ったらあいつらのプライドもないだろ。それよりも、村の中を先に確認しよう。よく見れば、エンジェたちも普通に闘っているだろ。」


あせるロディに、ジェインが落ち着くよう諭す。


「ああ、そこまで切羽詰まってなさそうだし、それよりも、村の中がどうか心配だ。この辺りはよくても、別のところから入られて、中が大変じゃあ困るからな。中に戻るぞ。」


グリーが水を飲みながら、村の中へと歩き出す。ロディも、フィズに肩を押されながら村の中へと歩いて行く。


村の中は未だ明かりがついている。赤々と燃えている広場で、若者たちと魔物が闘っていた。


「行くぞ!」


「うん!!」


グリーとロディが走り出す。その後をジェインとフィズが追う。若者達が剣で応戦しているところへ、グリーとロディが体をいれてかばう。剣でそのするどい爪をはじくと、勢いよく魔物を屠る。生々しい血の色に、若者達がひっと体をのけぞらせる。魔物自体はたくさん入っていなかったようで、すぐに四人で片付けることができた。


「た、たすかった。」

「ありがとよ。」


魔物達が息絶えると、若者達はほっと息をついたり、腰を下ろしたりしていた。


「無事でよかった。怪我をした者はいないか?」


フィズが声をかけると、擦り傷をした者がいたらしく、数人を治療する。一段落して、村長が周囲を見回して、グリーに尋ねた。


「他に魔物が入って来ていないか、手分けすべきか。」


「いや、村のみんなはここで待っててくれ。まだ外で闘ってるやつらもいるから。俺たちが村の中を見回ろう。」


「わかった。頼もう。」


村長は冒険者であるグリーに頼ることにした。村の者達を危険にあわせたくはないからだ。グリーはフィズの治療が落ち着いたのを見て、声をかけた。


「さあ、村の中を見回りに行くぞ。」


グリーの言葉に、ロディが精霊が言っていたことを思い出して告げる。


「たぶん、護衛さんたちが闘ってるはずだから、あっち!」


「・・・大丈夫だと思うが、一応、様子を見に行くか。」


四人は商隊の泊まっている宿屋へと走った。


設定46 フィズの治療

魔法での治療は戦闘時の緊急でしか行わないので、今回は基本的に民間療法。傷薬というか、消毒程度。絆創膏もないので、酷い怪我には包帯を巻いた。かなりの高度な魔術陣を扱えたり、魔術陣がかかれた薬などがあれば、高度な治療を施すことができるが、フィズはそこまでではないので、民間療法レベルである。

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