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49/54

49 ルットステンにて

あけましておめでとうございます。

暖かな正月を迎え,温暖化を感じる今日この頃・・・

楽しんで頂けると嬉しいです。

宿屋を決め,食事を済ませると,ロディは一人,冒険者ギルドへと向かった。グリージアたち三人は,今日は仕事をせずに武器の手入れや荷物の整理をするというので,一人でやってきたのだ。少年にしか見えないロディが一人冒険者ギルドへと入ると,見慣れない子どもに,周囲から目が向けられる。ロディは視線に気づくも気にせずにギルドにある掲示板を見る。ロディは簡単な仕事のある掲示板を一通り見て,一枚を手に取るとカウンターへと向かった。


「こんにちは!この仕事、受けたいんですけど,相談にのってくれますか?」


ロディが差し出したのは,食材狩猟の依頼だった。カウンターに座っていた男がきょとんとする。


「ああ,受け付けるが,どうかしたか?」


元冒険者らしい大柄な男はゆっくりとロディに問いかける。見慣れない子どもが何を困っているのか,きちんと聞いてやろうとしているのだ。その様子を見て,ロディは嬉しそうに尋ねる。


「この町でいい矢を売ってくれるお店ってどこですか?」


ロディの肩に背負った矢を見て,短い髪の受付の男は少し考えて答える。


「矢か?そうだな。・・・どこの店もいいと思うが,マードックの店がいいだろう。お前,名前は?」


「私はロディスティルリー=アポロス。ロディって呼んでよ。おじさんは?」


ロディはぴょんぴょんと短い金髪の髪をハネさせて,カウンターの向こうの男に応える。少年だと思っていた男は内心で驚きつつも,落ち着いて対応する。


「俺はブローム=リドリーだ。ルットステン支部へようこそ,ロディ。この町は初めてなんだな?」


「うん。王都から護衛依頼でここへ来たんだ。」


「帰りはどうするんだ?」


にこにこと答えるロディに,ブロームは子どもがどこまで考えているのかわからないと思い,問いかける。


「また護衛依頼が入るまでこの町で待つか,別の依頼を受けるかは相談してみようと思うんだ。今日この町に着いたばかりだから,まだ移動はしないと思うし。」


素直に答えるロディに,ブロームはふむふむと頷きながら聞いて,


「そうか。なら,しばらくいるだろうな。マードックの店はギルドを出て左へまっすぐ行って,6ブロック先を右へ向かって・・・。いや,地図を見ながらの方がいいな。」


ブロームはカウンターの中から地図を取りだして,ロディに広げてみせる。


「ここがギルドだ。ここからまっすぐ行って,ここで右に曲がる。それから・・・。」


「うん,わかった!!」


ブロームが丁寧に印をつけてくれたので,ロディは目を輝かせて頷いた。


「ありがとう,ブロームさん!!さっそく行ってくるね!!」


「おう,食料狩猟の依頼も頼むぞ。」


「うん!」


にこにこと手を振りながらギルドを出て行くロディを見送って,ブロームは思わず笑っていた。


「どうした,ブローム?」


「いや,若くて素直な冒険者はほほえましくってなぁ。」


隣の職員に尋ねられ,ブロームは機嫌良く応えていた。




 ロディはブロームに教えてもらった通りにてくてくと道を歩いていた。王都より道幅は狭いが,人はそれなりに通っている大通りから少し横道に入ったところに,その店はあった。外観には少し蔦植物が這い上がっているが,看板は綺麗である。看板に書いてある名前は『武器屋ドック』。


「こんにちは~。」


ロディは扉を開けると同時に挨拶をした。店の中は少し薄暗く,ロディは中に入り周囲を見回す。様々な武器が並んでいるが,店員の姿がない。ロディは店の中をきょろきょろと見回る。大剣,レイピア,ショートソード,ナイフ,ダガー,シミター,槍,斧,たくさんの武器があるが,弓矢の姿がない。ロディは首をかしげながら店の奥へと足を踏み入れる。


「こんにちは~,冒険者ギルドの人に聞いて来たんですけど~!」


さっきより大きめの声でロディが声をかけると,店の奥からドタドタと大きな音が聞こえてくる。


「なんだぁ?客か?!」


「お客さん,来てる!!」


大きな男と,小さな女の子がばたばたと姿を現した。


「こんにちは!よかった~!!誰もいないのかと思った~。」


ほっとした様子を見せるロディに,女の子が慌てて声をかける。


「ごめんなさい!!奥で作業してたから全然聞こえなかったの。おっかしいなぁ,ちゃんとベルを鳴らすようにしたんだけど・・・。」


「ベル?鳴らなかったよ?」


「ううん,ドアが開けられたら紐が緩んで・・・あっ!紐が緩んだらベル鳴らないや!!」


どうやら家の中に仕掛けた仕掛けが上手くはまらなかったらしく,女の子はとてもがっかりしていた。


「モリー!ちゃんと店番やれって言っただろうが!!」


父親らしい男が女の子を叱りつける。


「だって私も手入れしたいんだもの。」


ポニーテールの似合う女の子は,怒られながらも頬を膨らませている。


「おめえは店が閉まってからやれい!!」


がつんと言われてもべーっと舌を出してしらんぷりをしている女の子の前で,男がロディへと近づいた。


「うん?おめえさんが客か?」


「うん。冒険者ギルドのブロームさんに,マードックさんのお店がいいって教えてもらったんだ!」


「ほほう,あの男にしてはいいことをするな。で,おめえさんの武器は何だ?」


「ショートソードと弓矢がメインだよ。今日は矢が欲しくて来たんだ。こういう矢がほしいんだけど,できる?」


ロディは自分が背負っている矢を差し出した。


「おお!これはすごい!!」


設定49 ブローム=リドリー

     ルットステンの冒険者ギルドの依頼受け付けカウンターの職員。

     元冒険者だが,大怪我をしたため引退している。

     短い茶髪の大柄な男だが,後輩たちへアドバイスしてくれる優しいギルド職

     員。

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