43 それぞれのスタンス
遅くなりましたが、楽しんで頂けると幸いです。
「なんだって?魔物の遠吠え?そんなもの、普通に聞こえるだろう。」
夜も遅くにやってきたロディたちに、コーフィットはいらだちを隠さない。が、エンジェライドとセンは魔法で耳を澄ませる。互いに目配せすると、エンジェライドが立ち上がる。
「コーフィット、ジェインたちが言うとおりだ。この遠吠えは魔物の移動だ。餌を求めて追いかけてきたに違いない。もし、この村に来なかったとしても、見張りはしなければならないだろう。今、ここに、ジェインとロディが来ているなら、向こうはグリーとフィズしかいないだろう。護衛も宿の周りはしても、村の周りまではしていないだろうからな。」
センも立ち上がると、シンもレンも身支度を整える。何も言わずとも準備を始めた三人に、コーフィットはため息をついた。
「お前たちがそういうなら行こう。護衛にはもう伝えたのか?」
「すでに向こうも動き始めた。村長たちにも伝えて村の男衆を集めてもらっている。お前たちが最後だ。とりあえず、広場へ向かうぞ。」
ロディたちは先程まで盛り上がっていた広場へと集まった。すでに赤々と松明をつけている。多くの男性がそれぞれに鍬や斧など戦える道具を持って集まっていた。その中でも年寄りの男がジェインを見つけて歩いてきた。
「おお、ジェイン殿、腕のたつ若者を集めましたぞ!!女子どもは中心の教会へと避難をしておる。」
「さすが、村長!!手回しが速くて助かる。では、半分に分けて、教会を守る者と村の外で守る者とに分けてくれ。村の外で守る者は俺たちと共に闘ってくれ。」
「お主たちと共に闘えるかはわからんが、わかった。話し合いをしてくる。」
「健闘を祈る。」
村長が村人を集めている間に、ジェインはロディを連れてさっさと村の外へと向かう。すでに護衛の人たちとグリー、コーフィットが険悪な雰囲気になっていた。
「俺たちがメインで闘う。」
「いいや、私たちが闘うのだ。貴様たちは村の者たちを守るがいい。」
「いや、別にどっちがメインとかないだろ?それよりも、ここに来させないように誘導したい。」
「なんだ?その軟弱な考えは。魔物など、さっさと屠ってしまえばいい!」
「一体何匹居るかわからないんだぞ?全部相手にしようとするなんて馬鹿だろ。」
「・・・元々、我らだけで護衛は十分。多少の魔物など、全て屠ってくれよう。そちらはそちらで勝手にしてくれてかまわない。まあ、今回の情報は助かったがな。」
「・・・わかったよ、じゃあこのあたりはそちらさんで頼むわ。俺らはちょっと偵察に行ってくる。コーフィット、こっちに来い!!」
「なんだと?命令するな!!」
グリーはやってきたロディたちの姿を見て、ほっとしたような表情をすると、エンジェへと顔を向けた。
「おい、エンジェ。この辺りは任せる。俺たちはちょっと行ってくる。」
「わかった。気をつけろ。」
エンジェもロディたちの姿を見、グリーの偵察という言葉に納得したようで、頷いた。グリーはさっさとロディたちの所へやってきた。もちろん、傍にいたフィズも一緒だ。
「ったく、融通が利かないってのは困る。」
「お前も言い出したら止まらないけどな。」
「あれほどではないだろ?」
「まあな。」
「まず、あの魔物たちの距離が知りたい。あの遠吠えがさっきより近づいてきていることははっきりしている。ロディ、何か気付くか?」
フィズが尋ねると、ロディは再度耳を澄ませる。
「さっきより聞き取りやすいね。でも、まだだいぶ遠い気がする。」
「よし、ならまだ村の中にあった豚の骨とかを村とは違うところへと持って行こう。そうしたら来ないだろ。」
グリーの提案に、ジェインが悲鳴を上げる。
「げっ!ちょっと待て、それは俺たちが運ぶってことだよな?俺たちが襲われるじゃないか!」
「しかし、そうもしないと、数で攻められたらこんな村なんかひとたまりもないぞ。」
「俺たちの方に確実に来るとは限らない。二手に分かれてくるという可能性もある。」
グリーやフィズたちの話を聞いて、ロディは考え込む。
「少しでも数を分散させたり、事前に倒して数を減らしたいってことだよね?」
「そういうことだ。」
「じゃあ、豚の残りを持っていって、森の中に罠を仕掛けるのはどうかな?」
ロディの提案に、フィズが頷く。
「魔物がこちらに来るまでにどれだけ時間があるかっていうところが勝負だな。罠ならグリーが得意だ。グリー、ロディと森の中に罠を仕掛けろ。俺たちは豚を持ってくる。」
「なるほどな、わかった。ロディ、罠の道具は持って居るか?」
「少しなら。」
「分かった。ならそれでいい。森に入ったら現地調達で罠を作ろう。行くぞ!!」
「はい!」
グリーとロディが森の中へ駆け出す。それを見送ってから、ジェインとフィズは豚をもらいに村の中へと向かった。
設定43 村
人の住んでいる集落のこと。村の防御には、よく道祖神が立てられている。これは本来道の安全を守る物だが、いつのまにか、魔物避けとされるようになった。同じようなものが村にもでき、こちらは魔物避けようの結界が付与され始めた。が、この魔物避けは弱い魔物ははじけても、強い魔物であると、あまり効果はない。この村の防護壁も道祖神もどきであり、すでに大量の魔物が来るをもろい。




