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42/54

42 おいしい豚

楽しんでいただけると幸いです。

「おい!ロディ!なんとそこの村でレックルヴァルクンの群れを仕留めたらしくってな!今日はうまいもの食えるぜー!」


次の日の夕方。グリーたちは泊まろうとしていた宿屋の親父からいいことを聞いて喜んでいた。


「レックルヴァルクンなんて、なかなか食えないよなぁ。」


「ああ、この辺りは生息地には適していないはずだけどな。餌でもなくなったんだろうか?」


「レックルヴァルクンは草食だろ?餌がなくなるようなことはないと思うがなぁ。」


「何にせよ、うまいもんが食べられるのはいい!!」


「楽しみだ~。」


ジェインとフィズも嬉しそうだ。


「わーい、楽しみ~。ね、マリアンネさん!!」


「そうね、レックルヴァルクンは単純な料理でもおいしいもの。こんなところで食べられるなんて思わなかったわ。」


にこにこと話しかけるロディに、マリアンネも微笑む。わいわいと村の広場でレックルヴァルクンの宴が始まり、丸焼きや、スープ、焼き肉、味付けの違う料理がたくさん並べられ、おのおのが好きにもらってそこらで食べたり飲んだりしている。女性陣は総出で料理をつくり、男性陣も、レックルヴァルクンの解体を終えると、さっさと飲み始めていた。グリーたちも混ざって一緒に酒を飲んでいる。ロディはいくつかの料理をお皿に取り分けると、宿屋にいるマリアンネのところに向かった。


「あら、ロディ。冒険者たちと一緒に食べるんじゃなかったの?」


「ちょっと食べたよ。これはマリアンネさんの分ね。こっちは私の~。」


部屋に訪れたロディを、マリアンネは首をかしげつつも、嬉しそうに部屋に迎え入れる。ロディは部屋の中のテーブルに皿を並べ始める。おいしそうなにおいが部屋に広がり、マリアンネの表情が緩む。


「まあ、おいしそうね!」


「でしょう!!マリアンネさんは護衛対象だから宿屋さんから出られないけど、せっかくの宴に参加できないし、食べられないのは悲しいから、持ってきたの。この部屋から見てたでしょう?」


マリアンネは護衛対象故に、宿屋に入ってからは一歩も出ていない。村で一番の宿屋は少し大きく、部屋の窓から広場が見えていた。マリアンネは楽しそうな宴の様子を静かに見ていたのだ。


「よく気がついたわね。」


「えへへ。」


驚くと同時に、嬉しくて、マリアンネが微笑むと、ロディは照れくさそうに笑った。


「せっかく持ってきてくれたのだし、食べましょう。」


「うん、いっただっきまーす。・・・おいし~!!」


「いただきます。これは、やわらかくてとてもおいしいわ。」


ロディもマリアンネもレックルヴァルクンのおいしさに舌鼓を打っていた。




宴も終わりに近づき、人々が片付けていた頃、ロディはマリアンネと寝ようとしていた。そのとき、ロディの耳に、かすかに魔物の遠吠えを聞いたのだ。ロディはかっと目を見開いて、立ち上がった。


「どうしたの?ロディ。」


寝転がって話をしていたマリアンネは、突然立ち上がったロディに驚く。


「ごめん、気になることがあるから、私は護衛に戻るよ。マリアンネさんはこの部屋で舞っててね。」


ロディはさっと身支度をすると、するりと部屋を出て行った。


「何事もなければよいのだけれど。」


マリアンネは心配そうにつぶやいた。




ロディは宿を出て、真っ先にグリーたちを探した。宿が無いので野宿をするはずだとうろうろ探していると、村の入り口の辺りにテントを見つけた。ロディは見つけるや否や三人に怒鳴る。


「グリー、フィズ、ジェイン、起きて!!」


「うがっ!!耳元で叫ぶな、ロディ、起きてる、起きてるぞ。」


一番近くにいたグリーが叫ぶ。


「うわあっ!!何?何だ?ロディ。」


「ふわあ、なんだあ?」


三人が起きてきて、ロディはもう一度魔力を集中させ、耳を澄ます。やはり、聞こえるのは魔物の遠吠え。


「魔物の遠吠えが聞こえる。結構近いよ。レックルヴァルクンの群れがこの辺りに来たのなら、それを追いかけてきた肉食の魔物が来てもおかしくないよね?」


ロディの言葉に、三人も魔力を集中させ、耳を澄ませる。


「・・・ほんとうだ。わずかに聞こえる。これはブレイズドッグかグレイウルフか、もしかすると、ブラッドウルフとかノワールウルフだと俺の魔法が効きにくいいんだよな。」


「遠吠えって事は、結構な数がいそうだ。倒しがいがあるぜ。」


相手によって対応を迫られる魔法使いのジェインはやや困っているが、グリーはたくさんの魔物に恐怖よりも楽しさを感じているバトルジャンキーだ。一人冷静なフィズは、ジェインに頼む。


「宴をして、この辺りはいいにおいがしているから、ここへ来るだろう。においは魔法でなんとかできないか?ジェイン。」


「わかった。・・・アネモス!!」


やわらかな風が巻き起こり、辺りの空気を村の外へと押し流す。


「これで少しましか?」


におわないことを確認して、グリーが尋ねるが、フィズの顔は険しい。


「でも、こちらに来るのは時間の問題だ。」


「なら、コーフィットや護衛、それに村長にも伝えておこう。ロディ、一緒に来い。グリー、フィズ。見張り、頼むな。」


「おう、連絡と作戦を頼む。応援は王都の方が近い。」


ロディはジェインと共に走り出し、グリーとフィズは村の外へ見張りに向かった。


設定42

レックルヴァルクン 森の奥の草原に住む豚。群れで移動する。

          食べる草が限られているため、うまい。

          一応、放牧なども行われているが、野生は奥地に行かなければ食べられないので、貴重。

          どんな料理にしてもうまい。

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