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40 馬車内にて

楽しんでいただけると幸いです。

「素直な子は好きよ。あなた、女の子よね?冒険者なんてならずに、普通にしていればかわいいのに。」


「私は、お父さんやお母さんみたいな冒険者になるんだ。」


ロディは脳裏に両親の姿を思い描き、輝くような笑顔を見せる。


「あ、両親が冒険者なら仕方ないわね。・・・あなた、磨けばかなり光るわね。」


マリアンネは馬車の中からロディと話しながらじっとみつめていたが、そっと手をロディの頬に伸ばす。


「冒険者をしているのにまだ肌は綺麗ね。まだ小さいからかしら。ロディと言ったわね。」


「うん。」


「あなた、よかったらうちで働かない?」


「う~ん、冒険者ギルドを通して依頼してもらったらある程度は働けるけど、冒険者だよ?」


「冒険者を辞めて、よ。」


「うれしいけど、ごめんなさい。私がやりたいのは冒険者なんだ。」


ロディはマリアンネの勧誘を丁寧に断る。マリアンネはその率直な様子に微笑んだ。


「あなた、いい子ね。わかったわ。あなたの夢、かなうといいわね。」


「うん。ありがとう。」


「そうだ!王妃様のドレス、どんなものか知りたくない?」


「ええ?知りたい!!」


「デザインを見せてあげるわ。いらっしゃい。」


「わーい!!」


素直なロディを気に行ったのか、マリアンネはロディを馬車の中に招き入れるとわいわいと話し始めた。ロディもマリアンネと一緒に楽しんでいた。


「楽しそうだなぁ、ロディ。」


「いいじゃないか。彼女と仲良く成ってくれていた方が、何かといいだろう。」


「そうだな。」


馬車と並走しているグリーとフィズは馬車から聞こえる楽しそうな声に微笑んだ。




「グオオオッ!」


「魔物だ!」


ロディとマリアンネが楽しくデザインを見ていると、外が騒然となる。ロディが外に出ようとすると、マリアンネが腕を掴んだ。


「なあに?」


「馬車の中で私を守ってくれる?ついでに、外の様子を見ながら戦況を教えて。」


マリアンネの言葉に、ロディは頷いた。マリアンネの手は少し震えていた。


「大丈夫だよ。ちょっと覗くね。」


ロディは御者側から顔を覗かせる。マリアンネの商隊の護衛団が手際よくグレイウルフを倒していく。グリーとフィズはビアベアを相手に二人がかりで闘っていた。


「みんな魔物と闘ってるけど、油断しなければ大丈夫そうだよ。」


ロディの落ち着いた声に、マリアンネは頷き、ロディの腕を握る力が少し緩まる。


「大丈夫。私が絶対守るし、みんな無事だよ。」


ロディがにこっと笑うと、マリアンネは苦笑いをしてみせた。


「あなたみたいに小さな子が魔物に対峙できるのに、大人の私ができないのは情けないわ。」


「そんなことないよ。普通の人は、魔物は怖くて当たり前だよ。女の人はとくにそうだよ。」


「ありがとう、ロディ。何度あってもだめね。慣れないわ。」


ふふと困ったように笑うマリアンネに、ロディはにこっと満面の笑みを浮かべる。


「大丈夫。任せて!」


ロディはそっと荷物の中から愛用の弓矢を出して馬車の外へと構える。なかなか倒れないビアベアの額に狙いをつけると、ひゅっと矢を放つ。フィズたちが攻撃している中、二人に当てず、的確にビアベアの脳天を直撃する。


「インパルス!」


ロディが狙ったのは、ビアベアの脳天に刺さった矢。矢を通して流れる強烈な電流に、ビアベアは黒こげになって倒れる。


「うえっ?!」


「なんだ?!」


目の前で突然矢がビアベアに刺さり、感電して倒れたので、グリーとフィズを驚いて周りを見回す。そして、馬車の中から顔を出しているロディとその弓を見て、二人は胸をなで下ろした。


「サンキュー、ロディ。」


グリーが手を上げる。フィズが馬車に駆け寄る。


「ロディ、今のはインパルスか?!それともサンダーか?!」


「今のはインパルスだよ。」


「すごいな!あんな小さな的にこの威力は。やっぱり雷系の魔法はすごいな!!おれにはイメージができなくて使えないからな。詠唱は?」


「普通にしたよ。」


「そうか。いや、すごいなぁ!!俺は基本回復魔法しか使えないし。」


フィズはテンションが上がりっぱなしでロディに話しかける。


「おい、フィズ!その話は後にしろ!魔物がもう数体いるぞ。それにけが人もいる。」


グリーはまだ抑えている他の護衛の加勢に加わりながらフィズに怒鳴る。


「わかってる。ロディ、また後で教えてくれ!」


「うん!」


グリーとフィズが加勢に行くのを見送って、ロディは周りを見渡す。周囲にまだ魔物がいるのではないかと思ったからだ。周囲を警戒していると、森の奥にきらりと何か光ったような気がして、じっと目を凝らす。光ったのは、魔物の目だ。それも無数に。ロディはとっさに馬車から飛び降りた。

「ロディ?!」


マリアンネが驚いて叫んだ。ロディはどんどん馬車から離れていった。



設定40 インパルス 衝撃電流

     炎や水と違って、雷は大自然のイメージが強く、魔法としては扱いにくい。

     教会は本来弱った人を救済するものなので、基本的に、攻撃魔法を学ばないので、神官は治癒魔法を学ぶため、闘いたい神官は性格的に難しい。


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