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39 馬車の御者席にて

楽しんでいただけると幸いです。

コーフィットが納得するまでひたすらフィズが説得し続け、その間に仲間たちはお互いに目配せし、話し始めた。


「えっと、君がロディだね。俺はエンジェライド=ルフト。エンジーって呼んでくれ。コーフィットとは、幼なじみでね。ああなると手がつけられなくて、すまないね。」


茶色いふわりとした髪に、こげ茶色の瞳、困ったように下がった眉毛が印象的な男が、ロディに挨拶と共に手を差し伸べる。


「ううん。よろしくね。」


ロディはエンジーの手を取り、握手した。それを見て、その後ろにいた青年たちも次々に挨拶をし始める。


「おれはシン=カートン。」

「俺はレン=カートン。」

「ぼくはセン=カートン。」


3つ子らしい青年に、ロディは目を見張った。顔はそっくりだが、もっているものや服装が全く違う。揃える、という気はないようだ。


「「「驚いた?一応わかりやすいようにいろいろ変えてるから、その辺り確認よろしく!」」」


ロディは三人が同時にしゃべるその綺麗なハーモニーに驚きながら、自己紹介をしてくれた順番に確認していく。それぞれが全く違うようにしてくれているので、わかりやすい。


「えーっと、ショートカットの黒髪で、武術家なのがシンで、短髪で金髪の剣士がレンで、茶髪で長い髪をくくって魔法使いのローブを着てるのがセンであってる?」


「「「うん、あってるよ。」」」


「シン、レン、セン、よろしく。」


「「「よろしくな。」」」


「ロディ、ありがとな!」


ロディたちが話し終わったころ、グリーが会話に入ってきた。


「うん?」


ロディが振り向いて首をかしげる。


「ロディが一緒に依頼を受けてくれるってことさ。お前がいると助かるよ。」


「うん。がんばるよ!」


グリーが差し出した手を、ロディは笑顔で握った。




「あなたたちが今回の護衛?よろしく頼むわ。」


待ち合わせ場所にあった馬車の中から現れたのはきれいな赤毛をきゅっと結いあげた釣り目の女性だ。緑のドレスを着て、男たちの前に颯爽と現れた姿は凛々しい。


「ふん。おれがリーダーのコーフィット=フランだ。基本的に馬車の中や建物の中でじっとしてもらいたい。」


コーフィットが淡々と言うが、女性は口元を緩めたが、まったくコーフィットのことを相手にせず言葉を続ける。


「そう、基本的に私も馬車や建物の中にいたいと思っているわ。それでも、外に出なければならないし、自衛の訓練は毎日欠かしていないの。基本、うちの護衛で事足りるとは思ってるのよ。でも、もしものときのためのあなたたちを依頼したわ。よい旅になるように護衛を頼むわ。」


女性とコーフィットの様子を見てたグリージアだが、我慢できずに口を挟む。


「おい、いつのまにコーフィットがリーダーになったんだよ。俺はグリージア=フォーレ。あんたが依頼主のマリアンネ=ユーロニアだな。基本的にあんたの指示に従って護衛するつもりだ。よろしくな。」


話しかけてきたグリージアにマリアンネは、頷く。


「あなたの方が、話が通りそうね。周囲の警護をお願いするわ。」


「任された。」


グリージアとマリアンネの間でいくつか会話がされ、一行はルットステンへ出発した。




先頭を進むのは、商隊の馬車とその御者席に一緒に座っているコーフィットと馬を駆っている商会の護衛たちとエンジーとセン。続いてマリアンネが乗っている馬車。その助手席にはロディ。馬で護衛とグリーとフィズ。最後の馬車には助手席にジェイン。馬で護衛とシンとレン。3つの馬車にそれぞれに分かれて護衛をしていた。


ロディは初めての護衛依頼にわくわくしながら、御者に話しかける。


「おじさんは、いつもこうやって旅をして商売をしてるの?」


御者席で馬を操っているのは口髭のある紳士だ。


「ええ。マリアンネ様の御者として、マリアンネ様が生まれたときから務めております。」


「すごいんだね!マリアンネさんもとってもカッコイイよね。ルットステンには何を売りに行くの?」


「いろいろですよ。ユーロニア商会が何を扱っているか御存じですか?」


「ううん。あんまり知らない。」


「ユーロニア商会は主に衣類を取り扱っています。またその衣類に合わせた小物なども販売しております。」


「へえ、だからマリアンネさん、とっても綺麗なんだね。」


「もちろん、マリアンネ様は商会一のファッションセンスのある方です。マリアンネ様がこの街のファッションをリードしていると言っても過言ではありません。ご自分でデザインをされているため、王妃様のドレスのデザインを頼まれたこともあります。」


「ふええ。王妃様の?!」


ロディが驚いて大きな声をあげると、馬車の中からきつい声がとんだ。

共に、馬で並走していたグリーが駆け寄る。


「何?!」


「どうした?!」


「あ、すみません。お話を聞いてたら驚きすぎて大きな声を出しちゃった。」


ロディが恥ずかしそうに謝る。


「なんだ、驚かせるなよ。」


グリーがほっとして馬車から離れる。馬車の中にいたマリアンネがロディをにらむ。


「いったい、何の話をしていたの?王妃って聞こえたけど。」


「マリアンネさんが、王妃様のドレスのデザインをしたって御者さんから聞いたんだよ。とってもすごいことだから、びっくりしちゃったんだ。マリアンネさんってきれいでかっこよくて、すごいね!!」


ロディは目を輝かせてマリアンネを見た。あまりに素直な姿に、マリアンネは毒気を抜かれたようで、くすりと笑った。

設定39 マリアンネ=ユーロニア

      ユーロニア商会の娘。王都のファッションリーダーの一人。

      王妃のドレスのデザインを手がける。

      商隊のトップをするほどの商売人。

      長い赤髪を結えて颯爽と仕事をする釣り目の美人。      

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