表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/54

36 二度あることは三度ある

楽しんでいただけると幸いです。

「あ、バーツさん!?ごめんなさいっ!!」


ロディは蹴ってしまった相手がバーツだと知るや否や、バーツの背中をなでる。


「いや、大丈夫だ。俺も出口にいたままだったから邪魔したな。ロディは大丈夫か?」


「うん。大丈夫だよ。」


ロディはだいぶ長い距離を滑り落ちたので、擦り傷はあるが、特に体の変調はなかった。


「なんでバーツさん、座りこんでたの?」


分かりやすい穴のあいている場所に背中を向けて座りこんでいたバーツに、ロディは首をひねりながら尋ねた。


「いや、たまたま出口に座ってただけだ。まだケルディたちが来てなかったんでな。」


うっかりしていた、とバーツは頭をかきながら立ち上がり、ロディに応える。と、ロディは目を輝かせた。


「じゃあ、バーツさん、一番だったんだね!」


「ああ、アビーもそこで休んでるぜ。」


バーツが指さす方向に、アビーが横になっていた。というより、寝ていた。


「なんでアビーさん、寝てるの?」


「別れた後、ゾンビにあったんだ。気持ち悪がって気絶しちまったんだよ。」


「えええ?!どうやって倒したの?」


「俺が全部倒した。アビーはよっぽど怖がりなんだなあ。」


「ゾンビが苦手じゃあこういうダンジョンは苦手になりそうだね。」


「そうだなぁ。」


二人でアビーの近くに座る。ロディはきょろきょろとあたりを見回す。


「何にもないねぇ。」


「ああ、あそこに扉が一つ。そして、お前が落ちてきた穴。あとはなあんにも」


「うわあっ!」


どすんっ!


「ぐっ!!」


バーツが話している最中に天井の一部が開き、バーツの頭に振ってきた。大きな音と共に、バーツと降ってきたものが倒れる。


「バーツさんっ!!」


「いってぇ。」


「なんなんだよ。」


「うおっ?バーツ?それにロディ!!」


降ってきたのはレックだった。


「レックさん。無事でよかったぁ。」


ロディがほっとにっこり笑顔を見せる。


「ロディが元気そうでよかったよ。で、すまん、バーツ。」


レックがけろっとして隣で頭を抱えているバーツに声をかける。


「すまん、じゃねーよ。いってぇなぁ。なんで上から降ってくるんだよ。」


バーツはレックに怒りながらも、あまりの痛さにうずくまったままだ。


「いやあ、試練を終えて普通に道を歩いていたんだが、突然落とし穴が開いて、落ちた。」


「落ちたってなぁ。」


バーツは半泣きだ。頭を抱えているバーツを見て、レックは辺りを見回し、ロディに顔を向けた。


「ケルディとリリィとアビーは?」


「アビーさんはそこで寝てるけど、ケルディさんとリリィさんはまだ見てないよ?」


「なんでアビーは寝てるんだ?魔物に何か魔法でも掛けられたか?」


「ううん。ゾンビが怖くて気絶したんだって。」


「アビー、神官だからパージしたんじゃねーの?」


「ううん。全部バーツが倒したんだって。」


「そりゃあ、スプラッタなことになるなぁ。そういうときはパージで一瞬で綺麗にすればよかったんだ。そしたらトラウマにもならない。が、きっとバーツがごり押ししたんだろうなぁ。倒しがいがあるって。」


思わずバーツの様子が浮かんで、レックはがっくりと肩を落とし、アビーを哀れんだ目で見る。


「ねえねえ、レックさんはどんな試練だったの?」


「ああ、おれはたくさんの扉の中から1つを選ぶっていう試練だったみたいだ。」


「無事突破できてよかったね~。」


「ああ。ロディはどんな試練だったんだ?」


「石像を合わせるパズルみたいなのだったよ。」


「へえ、頭使いそうだな。よくやったな。」


レックにも頭をなでられ、ロディは嬉しそうに笑う。


「うわああああっ!」


「きゃあああっ!」


壁に突然丸い穴が空き、そこから叫び声と共に二人の人間が飛び出してきた。


「うげっ!」


「ぐはっ!!」


「ケルディさん!リリィさん!レックさん!バーツさん!大丈夫!!」


頭を抱えていたバーツの背中にケルディがひざ蹴りを食らわせながら、横に転がり、レックに抱きつくようにして受け止められたのがリリィだ。さすがの勢いに、レックは尻もちをついていた。


「す、すまん、バーツ。」


「げほっ、げほげほっ!!ううっ。」


蹴りを食らわせ転がったケルディは比較的元気だが、背中に躊躇なく入れられた膝はかなり痛いらしく、バーツはついに横たわっていた。


「いてて。」


「ごめんね、レック。大丈夫?」


「ああ、大丈夫だ。起き上がれるか?」


「ええ。」


リリィが立ち上がると、レックもさっと立ちあがった。転んだものの、上手く威力を逃がしたらしい。


「バーツが落ち着くまでここで休憩しよう。」


レックの言葉に、全員頷いた。


「ねえ、リリィさん。リリィさんたちはどんな試練だったの?」


「あたしたちは、まるで自分そっくりの敵を相手していたわ。」


「そっくりの敵?」


ロディは首をかしげると、ケルディが付けくわえた。


「ああ、ミロワールスライムだ。こっちの姿を真似てくるやつでな、結構手ごわかった。」


「すごいね~!そんなスライムがいるんだー!!」


目を輝かせるロディに、ケルディが苦笑いをしながらなでる。


「お前も無事でなによりだ。」


「えへへ。」


ケルディになでられたのが一番嬉しかったらしく、ロディはその手をぎゅっと握りかえした。


設定36 ミロワールスライム

スライムの中でも、出会った生き物の姿に変身し、その能力をもほぼコピーしてしまうスライム。当然であった相手はうろたえるので、その隙をついて攻撃してくる。能力はほぼコピーとは言え、その能力を上手く使えるか否かはそのスライム次第なので、大抵は倒すことが可能。人間の思考までは真似することはできないからだ。同じ魔法を使っても、魔法の使い方次第でなんとでもなるのだ。自分の技能が高ければ高いほど倒しやすいが、レベルの低いうちは相手をしたくない相手である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ