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31 地下7階から地下8階へ

楽しんでいただければ幸いです。

バーツたちは少しでも早く渡ろうと必死で足を動かした。

が、だんだんと音が聞こえてくる。羽音だ。やたら大きな羽音が。

ケルディはじっと先の暗闇を見つめた。

そして、羽音の正体をみた。


「ファルチェムルシェラゴ!!」


大きな羽と足の大きな鎌がみるみるうちにせまってくる。


「くうぅ、ここじゃあ、槍を振り回せられない!!」


バーツが歯がゆそうに、必死で足を進める。


「バーツ!魔法で援護するから、はやく向こう側に行け!!ゲイル!!」


レックが突風をファルチェムルシェラゴに向けて放つ。

その間にもみんな必死で狭い足場を進んでいく。


「足場が厳しいなあ。」


バランスの悪い細い足場から、ロディが矢を放つ。矢はファルチェムルシェラゴをかすめて闇に消える。


「ロディ、援護はいいが、足を止めるな!」


「あ、は~い!」


ケルディに言われて、ロディは足を進める。

一行はどうにか向こう側にたどり着くと、迎撃態勢をとる。


「ここまでくれば大丈夫!」


と、バーツは槍をファルチェムルシェラゴへ振りかぶる。が、ファルチェムルシェラゴはひらりとバーツの槍をかわす。


「おお?!なかなかやるな!」


意外とすばやいファルチェムルシェラゴに、バーツはさらに槍を振るうスピードを速め、ぐさりとファルチェムルシェラゴを突き刺した。

ロディは向こう側に着くや否や、開けたところで矢を連続で放つ。

降り注ぐ矢は、ファルチェムルシェラゴに次々と襲いかかる。

ロディの矢に撃ち落とされたファルチェムルシェラゴにリリィがとどめを刺す。

が、大量にやってきたファルチェムルシェラゴの何匹かは二人の攻撃をすり抜けて、後ろにいたレックたちに襲いかかる。


「サンダー!」

「せいっ!」


レックの魔法とケルディの剣がファルチェムルシェラゴを打ち倒す。


「いったい、あと何匹いるんだっ?!」


「わからないが、耐えきるぞ!」


「もちろんよっ!」


バーツのいらいらした声に、ケルディが活を入れると、リリィが返事する。

どうにか乗り切ると、リリィが座り込む。


「ちょ、いったん休憩して、落とし穴対策考えようよ。」


「落とし穴対策ならみんなでロープつないでおけばいいんじゃないか?」


バーツが言うと、レックが嫌そうな顔をする。


「ケルディとバーツが一緒に落ちると引き上げられないだろうが。」


「それもそうか。」


「一応、フライが使えるから大丈夫だと思うよ。」


ロディが提案するが、ケルディが答える。


「そうそう、魔法に頼ろうとするのはよくない。もし、魔法妨害がかかっていたら咄嗟の時に使えないということもありうる。」


「そっか。そういうことも考えておかないといけないよね。」


「落とし穴を察知することはできないか?」


ケルディがレックを見るが、レックは首を振る。


「魔力を察知することはできても、空間があるかはわからない。」


「・・・土魔法で道をずっと作っていくとかは?」


リリィが提案するが、レックが呆れた声を出す。


「どれだけ魔力がいるんだよ、それ。」


「じゃあ、道をつつきながら歩くしかないな!」


バーツが槍で地面をコンコンと叩いてみせる。


「そうだな。バーツ、頼んだぞ!」


ケルディがバーツに手を差し出すと、バーツは軽やかに手を交わす。


「おう、まかせとけ。・・・で、うっかり落ちたらロディ、レック、頼んだぞ。」


自信満々に答えたバーツだったが、苦笑いでロディとレックに視線を向ける。


「うん。大丈夫だよ。」


「ああ。」


ロディはにこにこと返事をして、レックも頷いた。


一行はバーツを先頭に、ロディ、レック、リリィ、ケルディ、アビーの順に歩き出した。





そして、階段を見つけた。


「うそだろ?この階まさかの落とし穴1つなのか?!」


バーツが叫ぶ。と、次々にみんな口を開け出した。


「こうやって何も罠がないところを慎重に緊張だけさせるってことか?」


レックは思考をつぶやき、


「うわー、バッカみたい~。」


リリィはがっくりと肩を落とし、


「今回はしてやられたな。」


ケルディは苦笑いだ。


「こんなダンジョンもあるんだな~。は~、緊張した~。」


ロディはのほほんと感心し、


「何もなくてよかったわ。」


微笑むアビーに、みんな大物だと感じた。




さらに階段を下りて歩き続けると、またスケルトンたちが現れた。今度はスケルトン、スケルトンアニマル、スケルトンシュヴァリエ、スケルトンマギサが入り乱れて襲いかかってくる。


バーツ、ケルディ、ロディ、リリィが前線で戦い、レックとアビーが魔法で援護するも、苦戦していた。


「くそっ、あの小部屋まで行くぞ!何があるかわからないが、逃げるぞ!」


「おう!」


ケルディの声に、どうにか小部屋まで撤退し、バーツが槍で敵をいなすと、レックが土魔法で入口をふさぐ。


「この部屋には何もいないみたいね。」


先に小部屋に入って調べていたリリィがみんなに報告した。


「ただ、今度は文字が書いてあるの。」


「何て書いてあったんだ?」


レックが尋ねた。


「魔法とは世界の理であり、人々の心である。

 故に真実の鏡の前では、全てが明らかになる。

 目的を遂げるためには、試練の道を歩むべし。って。

 いったいどういうことかしら?」

設定31

ファルチェムルシェラゴ ファルチェ(鎌)ムルシェラゴ(こうもり)の意。

            大きな鎌と大きな羽をもった攻撃型こうもり。

            主に鎌で攻撃しようとしてくる

            集団で襲ってくる。

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