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30/54

30 矢もあり、穴もあり

楽しんでいただければ嬉しいです。

「これで罠を踏む危険がなくなったね。」


リリィがにこにこと進んでいく。


「っていうか、他の人もこうやって通ってるんじゃないかな?」


「なんでわかるんだ?」


ロディの言葉に、バーツが尋ねた。


「だって、あそこ、砂山の塊があるんだ。たぶん前に来た人たちがやったんだよ。」


ロディの指さした先にはいくつかの砂山ができていた。


「先人たちも同じことしてたんだな。」


しみじみとレックがつぶやく。


「ロディのおかげね。」


アビーが松明を掲げながらにこにこと言う。


「6階から罠ということは、7階以降もそうかもしれないな。」


ケルディは周りを見ながらつぶやいた。多くの矢が壁に、床に刺さっているが、死体は見られない。おそらく全てアンデッドになってしまったのだろう。アンデッドになったものは、5階以上にあがり、ダンジョンに来る冒険者へと襲いかかるのだ。


「ロディ!曲がったら、また床が砂だらけだぞ!」


「じゃ、もう一回いくね~、アネモス!!」


曲がり角の先で、ロディは風を操る。レックはその扱いをじっとみていた。


「ロディの魔法は綺麗だな。」


「え?」


レックの言葉に、ロディは驚いて目をぱちくりとさせる。


「普通の冒険者はもっと魔法の扱いが荒い。ティエリーさんや、レイウッド魔術師団長の教えのおかげなんだろうなぁ。」


しみじみとロディの魔法を見ていたレックの言葉に、ロディは照れて頬を染める。


「えへへ。」


嬉しそうにする様子に、バーツがその頭をぐりぐりとなでた。


「しっかし、ここは魔物でないな。」


「矢が飛んできちゃあ、魔物も困るんだろうよ。」


「魔物出てこないほうがありがたいわね。」


バーツ、レック、リリィはさくさくと罠を避けて歩いていく。

ケルディ、アビー、ロディは周りを見ながらその後を歩いていた。

7階への階段を見つけたロディが前へ行くと、レックが下がってくる。





「「「わあああっ!」」」


「「フライッ!!」」


7階に降りるや否や、ロディ、バーツ、リリィが落とし穴に落ちた。

レックとロディは咄嗟にフライの魔法を唱えるが、浮遊のため、地面より5mほど下で宙に浮いている。


「あまり継続できないぞ!」


浮遊時間と重さに比例して魔力を使用するために、どんどん魔力が失われていく。


「これに捕まれっ!!」


ケルディが荷物の中からロープを取り出し、自分の体に巻きつけるとバーツに投げた。


「おうっ!」


バーツはロープをつかむと、ロディとリリィをつかんで地上へ投げ飛ばした。


「わあっ!」


「きゃあっ!」


バーツが投げた先は、ケルディ。片手でロディを受け取り、地面に座らせ、次に飛んできたリリィも受け止め、地面へ降ろすと、ロープを引っ張る。レックがケルディと共にロープを引っ張り、ロディとリリィ、アビーが二人を引っ張る。フライがかかったままなので軽い分、しばらくしてバーツは落とし穴から地上へと出ることができた。6人は息も絶え絶えに周囲に座りこむ。


「罠があるだろうとは思っていたが、こんな大きな落とし穴だったとは・・・。」


ケルディはふうとため息をついて落とし穴を見た。

先に歩いていた、バーツ、ロディ、リリィが落ちた落とし穴は、階段を下りてしばらくしたところにあった。道幅ぎりぎりまで穴があり、人一人通れる地面が右端にあるだけで、向こう側まで10mほどある。下は暗くて見えないが、落ちたら死ぬであろう。どうやって跳んでも向こう岸には行けそうにない。右端の道をおとなしく進むしかなさそうである。


「びっくりした~。こんな大きな落とし穴があるんだねぇ。」


ロディはもう元気に落とし穴を観察している。落とし穴のぎりぎりまで行っているので、レックが服の先を握っている。


「死んだと思ったわ。」


未だ落ちた恐怖が身にしみているらしく、リリィはバーツの背にもたれかかっている。


「あせったー。ってか、レックとロディのフライのおかげだなー。あはは。」


バーツは背中にリリィをもたれさせながら、恐怖を笑い飛ばそうとしていた。


「ここもこんな落とし穴ばかりあるのかしら?」


アビーは不安そうにケルディの傍へ寄る。


「さあな。いよいよ気をつけていかなければならないだけだ。さあ、そろそろ行けるか?」


ケルディの言葉に、立ち上がると、皆右端の道へと歩き出す。


「先頭はバーツ、その後ろにロディ、次にリリィ、レック、俺、アビーの順で行くぞ。」


「あ、全員ロープを付けておこう。誰か落ちたらたまったもんじゃないからな。」


ケルディの指示の後、レックがかばんからロープを出して付け加える。全員がロープをズボンのベルトに通すとバーツから順に歩き出した。


「せまっ!」


「歩きにくい~。」


バーツとロディがぶつぶつと歩いていく。


「確かに、これは。」


「ケルディ、お前が一番心配だ。」


「大丈夫だ。」


「歩きにくいわ。」


順に歩いて行くが、やたらと足場が悪く、全員足元へと視線が向かっていた。

が、突然聞こえた音に、ロディが顔をあげた。


「何か来るっ!!」


バーツがまだ半分までしか来ていない。ロディの叫びに、ケルディは道の先に目をこらした。

設定30 フライは浮遊魔法であり、宙に浮かすことができるが、空を自由に飛ぶことは難しい。それは重力制御のうちでもっと制御が難しくなる。

重力制御魔法は一番簡単なもので、浮かすである。地面から1cm程度浮かすことだ。その場にとどめることが次のレベルへ、動かすことができるようになるにはかなりの技術が必要になる。

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