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29 罠との遭遇

楽しんでいただけると嬉しいです。

「わあっ!」


「うひゃあっ!」


叫び声をあげたロディとバーツは、尻もちをついた。休憩を終え、地下6階への階段を見つけ、6階を歩いていると、突然の風の音に二人は咄嗟に後ろに避けて尻もちをついた。


「どうした?!うおっ!」


咄嗟に近寄ったケルディも風の音に体を反らせた。


「大丈夫?」


アビーがたいまつをかかげると、ロディたちの横の壁に矢が突き刺さっていた。よく見ると、周りの壁にはたくさんの矢が突き刺さっていた。


「トラップか?!」


レックが周りをじっと見渡す。


「びっくりした~。今までこんなのなかったのに。」


ロディは尻もちをついたまま、感心して辺りを眺めている。


「怪我はしてない?」


「大丈夫~。」


「ああ。」


「尻が痛いくらいだ。あはは。」


リリィの問いに、ロディ、ケルディ、バーツは元気に応える。周りを見ていたレックが腕を組みながら三人に近寄る。


「さて、問題は三人もトラップにかかったってことだ。一度トラップにかかったからといってトラップが解除されるわけではないのか?」


「どうだろうか。三人ともトラップにかかった場所は同じ位置と言えるのか?」


ケルディは自分たち三人の場所を見て首をひねった。先頭にバーツ、その後ろにロディ、ロディの斜め後ろでケルディが矢を避けている。近いと言えばそうだが、それが同じトラップなのか、別のトラップが作動したのか判断し難い。


「とりあえず、矢を抜いてみよう。」


バーツがさっさと歩き、矢を抜くと、同じ場所にまた矢がささった。バーツは目を丸めて、後ずさった。


「あっぶね~!!」


「バーツ!不注意すぎるよっ!」


リリィが叫ぶ。バーツもさすがに今のはまずかったと頭をかく。


「どうも、あのラインにくると矢が来るようだな。」


「でも、最初にバーツが矢にあたらなかったのはなんでだ?」


ケルディがラインを見て言うと、レックが首をひねった。


「ラインより手間のどこかで人を感知して矢が遅れて放たれるんだろう。ちょうど歩いた先に人が通る辺りを。」


「ケルディさん、すごいね~。」


ロディがケルディの考えを聞いて素直に感心する。


「でも、それがわかったところで矢が飛んでくるのは変わらないわ。」


「いや、リリィ、矢が放たれるより前に走りきればいいんじゃないか?」


「馬鹿ね、バーツ。6階をずっと走っていくつもり?そんなのじゃあ、戦闘になったらどうしようもないじゃないの。」


「そういやあ、そうか。闘うころには体力がなくなっていそうだ。」


たははとバーツが頭をかく。


「でも、このままじゃあ進めないわね。」


「う~ん、あっちから飛んできたんだよね?」


「そうだな、ちょっと探ってみるか。」


アビーの言葉に、ロディとレックが矢の飛んできた方向に進んでみる。


「お、ここからか?」


レックが四角い穴をみつける。矢が中に見える。


「これを見つけて避けていくか?」


「なんだかたくさんあるよ?」


ロディは道の先にもいくつかの四角い穴を見つけてう~ん、と唸る。


「うおっ!」


バーツがまた矢に襲われて飛びのいた。


「あ、あそこから矢が出たんだよ!!」


ロディが天井を見て、四角い穴を見つけて声をあげる。


「ええ?!天井からもあるのかよ!!」


レックが叫ぶ。


「おい、バーツ。大丈夫か?」


なかなか立ち上がらないバーツに、ケルディが駆け寄る。


「なっ!なんか踏んだぞっ?!」


ケルディが飛んできた矢を避けてから、足元を見る。


「スイッチか?」


ケルディが足元の土を避けると丸いスイッチを見つける。


「じゃあ、罠をふんづけてたってこと?」


ケルディの様子を見て、リリィが尋ねると、ケルディが頷いた。


「・・・気付かなかった。」


「おれもだ。」


バーツとケルディが気付けなかったことにちょっとがっかりしていたが、


「じゃあ、足元の土を吹き飛ばしたら踏まないで済むよね?」


同じように踏んだはずのロディは嬉々としてレックに尋ねていた。


「まあ、そうだな。」


「行っくよ~、アネモス!!」


レックの肯定の言葉を聞くと、ロディは魔法を放った。地面に向けて放たれた風の魔法はことごとく地面にあった砂を巻き上げ、奥へと向かわせる。綺麗に砂がなくなり、後にはスイッチの姿が現れる。


「すっごーい、ロディ!これで罠にはかからないわ!」


リリィが大喜びでロディに駆け寄る。


「すごいな、ロディ。こんなに柔らかい風の魔法、どうやって?」


レックが素直に感心し、ロディに尋ねると、ロディはきょとんとした顔をしてみせた。


「へ?お庭の掃除に使わないの?」


「・・・庭の掃除に風の魔法は使わないだろ。」


ロディの応えに、レックは驚き、呆れた。


「えー?!母さんがやってたからそれが普通なんだと思ってた!!」


「ああ、魔法使いが確かに家事を魔法ですることもあるだろうけど、風の魔法で庭掃除するのか?!すごく、高度だぞ?」


「別に壊さなくても、よい修行だって、母さんが・・・。修行か!!」


レックのつっこみに、ロディは母を言葉を思い出し、自分で気付き、思い違いに恥ずかしそうに頬を染めた。

設定29

風の魔法アネモスはそよかぜのイメージだが、ロディは地面にある砂を巻き上げた。これはロディの落ち葉を拾い集めるイメージからされたものであり、通常ならもっと強めの風のはずである。イメージと魔力の使い方によって、魔法の使い道は大きく変わっていくのである。

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