27 治療魔法
休憩中。
楽しんでいただければ幸いです。
「でもロディ、あたしに謝る必要はないし、治療魔法もしなくていいの。
だって、あたしも冒険者。多少の怪我は覚悟の上よ。
さっきの怪我はあたしの未熟が招いた怪我なの。
あなたが気にする必要はないわ。そうじゃないと、私がみじめじゃない。」
リリィはあははと笑う。
「それに治療魔法は魔力を多く消費するでしょう。これからまだダンジョンは続くんだから、大怪我以外は使っちゃだめよ。ロディ、これは約束よ!」
「・・・うん。わかった。」
しょぼくれるロディに、リリィはくすりと笑ってその頭をなでる。
「それにしてもすごいわね。治療魔法は僧侶か神官、もしくは、それのできる人に教わらないとできないはずよ?」
ロディはリリィになでてもらって落ち着いたのか、顔をあげて答える。
「母さんの友達の、ティアーネさんっていう綺麗な神官のお姉さんに教わったんだ。」
「おいっ!ティアーネって英雄のパーティにいた聖女ティアーネか?!」
レックが話に食いついた。
「う~ん、私はよく知らないけど、たぶんそう。いっつも綺麗な神官の服着てたよ。よく遊びに来てたんだー。」
「すごいな。剣は英雄ロディアック、魔法はレイウッド魔術師団長、治療魔法は聖女ティアーネって、豪華な師匠だな。」
バーツが関心していると、バーツが尋ねる。
「弓は誰に教わったんだ?」
「ケリー兄ちゃん。」
「やっぱ、音速のケリーか!!一瞬のうちに倒しちまうって噂だろ?」
聞いたとたんに、バーツが目をキラキラさせる。
「うん。ケリー兄ちゃんはすごいよー。一瞬で敵の前に行ったり、遠くから狙撃したり、すごいんだー!」
ロディも思い出して嬉しくなる。
「うおー、やっぱ英雄ってすげーなぁ。会えないかなぁ。」
「村に行ったら会えると思うよ?」
「よし、今度ロディが帰るときに案内してくれよ!」
「しばらく帰らないよ?せっかく王都に来たんだもん。こっちで修業中だから。」
「次帰るときでいい!約束だぞ!」
「いいよー。」
バーツの約束に、ロディは軽く返事する。
「修行に来たロディが村に帰るなんて、後5年は無理だな。」
ケルディがふっと笑う。
「5年も冒険者してれば、俺たちも強くなれる!英雄と手合わせしてもらえるぐらいになる!!」
バーツが拳をあげて吠えた。
「スケルトン、強くなってるか?」
「倒すのに時間がかかってるのは確かだ。」
「どっちかっていうと、こっちの疲労が大きいと思うよ。」
バーツとレックの会話に、ロディが答えると、二人はロディに向き直る。
「それを言われるとつらい。」
「まるで俺たちがひ弱で、ロディが強そう。」
「私も疲れたから、そろそろ一度寝た方がいいと思う。」
ロディは汗をぬぐいながら話す。
「ダンジョンの中で?」
「うん。」
「俺たち、ダンジョンの中で寝たことないからなぁ。」
「そうなの?」
ロディがケルディに尋ねると、ケルディが頷いた。
「ダンジョンはいろいろな魔物が随時襲ってくるからな。あまり長時間入ったことがなかったんだ。今回はさすがに持ってきているから大丈夫だ。」
「ロディの言うとおり、もうそろそろ1日以上は動いているもの。交代して睡眠をとりましょ。」
リリィが言うと、アビーも頷いた。
「ダンジョンの中で休憩って・・・。」
「この部屋には魔物はいないみたいだ。」
レックが調べた部屋に全員入ると、入り口を閉める。さらにレックが土魔法で覆ってしまう。
「あ、壁になった。」
「こうすると、向こうからあけても入れないだろ。」
「確かに。」
レックの魔法に、ロディとアビーがなるほどと感心していると、リリィが濡れたタオルを二人の顔にかける。
「わっ。」
「ちょっとでも拭いておけばすっきりするわ。」
「ありがとー。」
女の子三人が寝入ると、バーツとレックが立ち上がる。
「先に寝ろよ、ケルディ。」
「あいつらと見張りした方がいいだろ。」
二人の言葉に、嫌そうな顔をしながらケルディが頷く。
「ったく、女子トークを一人で聞くのは耳が痛いが仕方ないな。頼んだぜ。」
ケルディが二人に頼んで寝に入ると、二人はドアの方を向いて座った。
「今回はやっぱりというか、思った通りというか、厳しいな。」
槍を肩にかけたバーツは厳しいと言いながらも顔は笑顔だ。
「ああ。普通の敵ならいざ知らず、ダンジョン内でスケルトンが相手だからなぁ。アビーのパージが回数使えないのが厳しい。」
反対に、レックは無表情だ。
「それにしてもロディはすげえな。剣も弓もかなりの腕前だ。さすがは英雄の娘だな。しっかり鍛えられてる。」
「ああ。弓の精度はかなりいい。剣もスケルトン相手に上手く使っている。俺らも負けていられないぜ。」
「しかし、ダンジョンの息苦しさはひどいな。圧迫感が特に。」
「ずっと暗闇の中を歩いていると、気落ちしてくるよな。」
「たまに炎の付与するとテンションが上がる。」
「そういうときは戦闘が長引いててハイになってんだろ。落ちつけよ?」
「そのテンションでいるから負けないってのもあるはず。」
「あー、それは否定しない。」
二人の雑談は見張りを交代するまで続いた。
設定27
ティアーネ=ジュダ 神官 現王国任命12聖女の一人。
昔は英雄ロディアックの仲間。英雄譚に出てくる有名人。
神官の生まれる家系の三女。
修行でロディアックの仲間として冒険者をしていた。
後にその力を認められ王国が聖女として任命した。
ケリー=ジュダ 冒険者 二つ名 音速のケリー 聖女ティアーネの夫。
弓と暗器が武器。昔は英雄ロディアックの仲間。
英雄譚に出てくる有名人。
今はティアーネの護衛や一人で依頼をこなしている。




