21 地下1階
ダンジョンの中がうまく表現できない。
楽しんでいただけると幸いです。
「階段だ。」
先頭を歩いていたケルディが階段を見つけて声を上げる。それまでの岩できっちりされていた道とは違い、壁が土になっている。
「下に行くんだな。」
「いよいよだ!気が引き締まる。」
レックとバーツが武者震いをする。
1階は蝙蝠や狼ばかり出てきていたが、この先はどうなるかわからない。
「足下が見にくいな。アビー、たいまつを貸してくれ。」
「はい。」
たいまつがアビーからケルディに渡される。再び歩き出す一行。階段はそれほど長くなく、地下に着いた。
「光がまったくないなんて、困るわ。」
「たいまつ一つじゃあたりないな。あと2本ぐらい用意しよう。」
ケルディがかばんから木を出してたいまつをつくる。
「アビー、レック、持っていてくれ。」
「おう。」
たいまつが3本になると、明りがかなり広くまで届く。周りは少し開けている場所のようだ。
「水の音が聞こえるよ?」
「本当か?」
「俺には全く聞こえないなぁ。」
ロディの言葉に、レックとバーツが耳を澄ませるが聞こえないようだ。
「まあ、近づいていっているんだろう。先に進もう。」
ケルディを先頭に、たいまつで辺りを照らしながら進む。
「あら、これは壁画かしら。まあ、聖書の絵だわ。」
アビーが壁に描かれている絵を見ていく。
「へえ、さすが遺跡ね。聖書の絵が描いてあるなんて。」
リリィがアビーと共に絵を眺める。
「聖書の途中の絵のようだな。『神が大地に人を作り、神はそれを見守った』」
レックが壁画の文字を読む。と、続きをアビーが付け足す。
「 神が大地に人を作り、神はそれを見守った
神が作りし大地は実り、人は増えた
神が作りし人はあつまり、ふえつづける
増え続けた人は、神をわすれた
神を見ることができぬ人は、神をあがめなかった
神が怒り、人を波でおしながした
神は長い間、天候を操った
雨が降り続け、雷が轟き、風が猛威をふるう
神の怒りが溶けたとき、大地は荒れ果てていた
かろうじて行きのびた人は、集まって増えていく
神の中には、それを快く思わぬものがいた
邪神となりて、魔物を生み出した
再び神を忘れぬよう、人を脅かすのだ
邪神は、魔物を使い人を襲った
神は見守るだけではいられなくなった
神は人に加護を与えた
それは魔物に対抗する魔力である
それは教会における魔物を退ける聖域である
それは魔物を脅かす聖なる言葉である
神に与えられた人は、神をあがめた
神は邪神を咎めるが、罰せず邪神は神々の元を去った
ここに描かれている壁画はここまでのようですね。」
「すっげー、アビー。聖書全部覚えてるのか?」
「私、一応神官ですからね、バーツ。」
「いや、それにしてもこの壁画はすごいな。この暗い中でもよく見える。」
ケルディとロディはアビーの聖書の話を聞きながら壁画を眺めていた。
「邪神が魔物を作ったんだね。」
「ああ。まあそれも、人の行いが悪かったからだが。」
「神様も忘れられたら悲しいよねぇ。」
「そうだな。おい、あっちに道があるようだ。そろそろ行くぞ。」
「はーい。」
奥へと進んでいくと、足音が聞こえてくる。今まで聞いたことの無い音に、ロディは木を引き締める。
「これは、・・・スケルトン?」
「死霊か!!」
「俺たちが壁になる。アビー、頼むぞ!」
「はい!」
バーツ、レック、ケルディがやってきたスケルトンを迎え打つ。リリィとロイディもその合間を縫って攻撃を加える。その間にアビーが詠唱を始めた。
「さまよう魂よ、眠れ、パージ」
アビーから温かな光が広がっていく。スケルトンたちは光に包まれると、一瞬動きが止まり、ばらばらと骨が崩れて落ちていく。
「浄化の魔法だ!」
「ええ、こういうときこそ、神官の出番よね。」
ロディが瞳をきらきらさせてアビーを見る。一緒に遊撃していたリリィもにっこりとアビーを見る。
「ちょっと、疲れました。さすがに浄化の魔法はきついです。」
「この様子だと、この地下はスケルトンたちが多そうだ。アビーの浄化の魔法はあまり使わないほうがよさそうだ。聖水を使うか、スケルトンの骨盤の骨を狙うようにしよう。」
アビーがふらふらしながら話すのを見て、ケルディが今後の方針を決める。
「浄化の魔法って結構魔力を使うんだな。」
アビーの背を支えて、レックがつぶやく。
「アビーを少し休ませてから進むことにしよう。」
「ごめんね。」
「大丈夫だよ。アビーさんのおかげで、私、元気だもん。」
ロディがにこにことアビーをみつめると、アビーも微笑む。
「ありがとう、ロディちゃん。」
「泉まではかなり先だからな。アビーがしんどいなら、休みなら進もう。」
「ここのダンジョンはでかい。慎重に進もう。」
ケルディとレックの言葉に頷き、ロディたちはしばらく足を止めた。
設定21
浄化の魔法は神官特有の魔法であり、除霊したりにも使う。
単体の場合はもっと簡単だが、アビーの場合範囲魔法として使ったので魔力の使用量が多かった。
パージは浄化の魔法の中でも初級であり、さらに中級、上級とあがっていく。




