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15 お互いの夢

連携の練習がしたいのに、夢の話が・・・

二人は草原の一本道をてくてくと歩いていた。


「イシュレイはこっちに来てからどんな依頼を受けてた?」


「・・・別に普通の依頼だ。」


「・・・ふーん、普通の依頼って?討伐依頼?魔術師だから魔術陣の依頼?

 薬草採集?食料調達?届け物?捜し物?」


「・・・討伐依頼だ。ディーノ草原のブラウンホーンの群れを減らして欲しいってことだった。」


「ブラウンホーンってあのおっきなやつかあ。・・・群れ?どれくらい?」


「約50頭の群れを半分以下に。」


「ええっ?減らすって、どうやって?」


「腹を空かせたグレイウルフ2体をおびき寄せて、はぐれたブラウンホーンを狙わせた。それに怒ったブラウンホーンを林の中から魔法で狙い撃ちで5頭。それに怖じ気づいた群れの先に落とし穴を作っておいて、落ちた20頭を魔法で貫いた。水辺で水を飲んでいるところを反対側から狙撃して5頭を打ち倒した。」


「へえっ!!すごいね!!そんな作戦考えてできるなんてすごい!!」


ロディはきらきらした目でイシュレイを見た。

自分では考えつかない手法に驚きと賞賛でいっぱいだ。


「こ、これくらい魔術師なんだ。当然だ。」


イシュレイはロディからの真っ正直な賛辞に、戸惑いを隠そうと偉ぶる。


「すごいなぁ。よーし、私もがんばろー。」


にこにこと前を向くロディを見て、イシュレイは口を開いた。


「お前はどうなんだよ。あの依頼の後。」


「賢者様のところの後は、薬草採集したり、お届け物をしたりしたよ。

 王都の人と仲良くなってね。いろいろ教えてもらったよ。

 そうそう、市場のお姉さんと仲良くなったんだよ。

 届け物したおばあちゃんがおいしい果物くれたりしてさ。

 いい人がたくさんいるね。

 同じ宿に泊まってるおにーさんとご飯食べたり。

 あっ、冒険者ギルドの受付のデイビッドさんはよく話を聞いてくれるし、

 教えてくれるよ。」


「・・・冒険者の生活を満喫してるな、お前。」


ロディの楽しそうな様子に、イシュレイは肩の力が抜けた。

賢者の修行を終え、ようやく一人立ちと気合いを入れていたイシュレイにとって、ロディのほんわか一人暮らしの様子にあっけにとられたのだ。


「へへ~、ようやく王都にでてきたんだ。楽しまなきゃ。

 で、いろんな人と楽しく仲良くできたら幸せだ。

 もちろん、仕事中は真剣にするけど、いつも力を入れていたら大変だからね。」


にこにこと答えるロディに、イシュレイはため息をついて言った。


「お前の冒険者生活、楽しそうすぎて、修行っぽくないな。いつになったらお前の夢の英雄になれるんだかな。」


皮肉な言葉に、ロディはむっと顔を膨らませる。


「むぅ、すぐに慣れるとは思ってないよ。厳しい修行をしても、実際にできるかどうかなんてその時にならなきゃわからないから。だから、一日一日を大切にしたいんだ。王都の人と過ごすときも、依頼をこなすときも、一生懸命してるよ。必死に生きてる。ただ、楽しく生きなきゃ、もったいないよ。

 っていうか、イシュレイはなんで賢者様のところにいたのさ。貴族だよね?」


ロディに切り替えされて、イシュレイは一考してからつぶやいた。


「筆頭宮廷魔術師になるためだ。」


「筆頭宮廷魔術師?ただの宮廷魔術師じゃない?」


ロディは聞き慣れない言葉に、首をひねっている。


「宮廷魔術師を統括する役職だ。今は俺の親父が就いている。」


「うえええ?!貴族だって言ってたけど、お父さん宮廷魔術師?!

 ・・・お父さんに教えてもらったら?」


ロディは思わずあごが外れそうなほど、口を開いて叫んだ。


「それじゃあ、親父を越えられないだろ。どうせなら一流の魔術師、賢者に教わるのが一番だろ。あとは実践で鍛えるしかない。」


「なるほどー、じゃあ、私も賢者様に教えてもらった方がお父さんを越える英雄になれるかもしれないよね!」


ぽん、っと音を立てるように手をたたく脳天気なロディの様子に、イシュレイがつぶやく。


「お前の場合、魔術師じゃないから、賢者に教わるより、騎士に教わった方がいいんじゃないか?」


「騎士?」


首をひねるロディに、イシュレイは丁寧に教えながら、にやにやと笑う。


「王国騎士団。お前、弓とか剣が武器だろう。対魔物なら街ごとにある地方騎士団、対人なら王都騎士団に入れば教えてもらえるだろう。近衛騎士団は国内最強の騎士団だから無理だろうけどな。」


「へえ、じゃあ、私がイシュレイより早く、その国内最強騎士団のトップに立ったら、私の勝ちだよね?」


イシュレイの言い方に腹立ちを隠せないロディはにやりと笑う。


「馬鹿言え。お前冒険者を続けるんだろ。騎士団に入るなら、3年は下積みの訓練、地方騎士団で5年、選抜試合とかで勝ち抜ければ王都騎士団に入れるだろうが、近衛騎士団は強さと賢さと美しさがないと無理だ。まあがんばって10年後になれるか、いや、なれないだろうな。」


ロディの笑みにむっとしたイシュレイがさらにロディをこき下ろす。


「むっ!騎士団に入ったら訓練ばっかりかぁ。それはもうお父さんでこりごり。

 じゃあ、やっぱり英雄として名を馳せよう。どっちが先に夢にたどり着けるか、勝負だっ!!」


とうとう、ロディはイシュレイに向かって指を差し、宣戦布告をした。


「ふっ、望むところだ!」


うっかり乗せられてしまったイシュレイとロディはにやりと笑いあった。

設定15 平民からなれるのが地方騎士団。

     地方騎士団の中でも強い人が配置されるのが国境騎士団。

     貴族からなれるのが王都騎士団。

     王都騎士団の中から強さ、賢さ、美しさの3拍子そろったのが

     近衛騎士団。

     年に1回ある選抜試験の後、各代表が闘うのが御前試合。

     普通勝つのは近衛騎士団。

     たまに国境騎士団長が勝ち上がって近衛騎士団へ推薦される。

     大抵、貴族に混じりたくなくて本人が断る。そして、怒られない。

     国境の方が魔物が強いので、強い騎士団長を国境におきたいのだ。


     宮廷魔術師は魔法使いは平民からもでるが、魔術陣を扱うために、

     貴族の子弟が宮廷魔術師に師事しなければなれない。

     イシュレイの場合は、修行後、父に師事を受ける予定。

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