10 魔導師見習い
・・・戦えているのか・・・
一人旅は寂しい・・・
てくてく歩いて行くと、魔物の気配を感じてじっとしていると、魔牙兎が襲いかかってきた。牙をかわし、ショートソードで三度斬りつけて倒した。
と、思っていると上から気配を感じ、横へ跳ぶ。
上から降ってきたのは、魔大蜘蛛。ロディより大きい魔大蜘蛛は、糸を吹き付けてくる。ロディは森の木を使って躱しながら弓に矢をつがえ、魔法で先端に火をつける。火矢を5本も放つと、魔大蜘蛛の吹き付けていた糸が燃え、三本が魔大蜘蛛に辺り、魔大蜘蛛が暴れ出す。木々にかかっている糸をショートソードで切って、魔大蜘蛛の後ろへと回り込む。ロディは魔大蜘蛛の足の関節を狙って切りつけた。魔大蜘蛛が足をむちゃくちゃに動かし、ロディは蹴っ飛ばされて木にぶつかった。
「げほっ。しまった。」
魔大蜘蛛が再び糸を吐き出したが、ロディはすんでのところで横へ転がり糸を躱す。
再び木の陰へと身を隠し、火矢を放つ。魔大蜘蛛に五本も打ち込むと、魔大蜘蛛が倒れた。
「ふぅ。危なかった。」
ロディは魔牙兎をかばんにしまうと、薬箱から塗り薬を取り出し、痛むところへと塗り込む。魔大蜘蛛は、糸を切って進むのが面倒になって、放って進んだ。
しばらく歩いていると、今度は大きな岩が見えてきた。もしかしてと思っていると、洞窟が見える。
「鍾乳洞かな?」
ロディは魔法で明かりをつけると、洞窟へと入っていった。
入っていくと、やはり鍾乳洞のようで、時折、水のしたたる音が聞こえてくる。
たまに頭に水滴が落ちてくる。ロディがきょろきょろしていると、蝙蝠が上の方に見えたが、動かなそうなので放っておいた。
入り組んだ道だが、分かれ道もなく、とことこと進む。
「ん?水音?」
ロディはさらさらと水が流れていく音に気付いた。
だんだんと天井が低くなってきていることに気付く。
とうとう、開けたところに出ると、そこには広い湖が広がっていた。
落ちないように足下を照らしていると、いくつかの植物が生えていることに気付いた。
「これかな?」
暗くてよくわからないままに、いくつか採取する。
と、奥のほうからドドドと音が聞こえてきた。
なんだか嫌な予感がするなあと、ロディは引き返すことにした。
ロディがゆっくりと引き返していると、ぴちゃぴちゃと足下に水が溢れてきたことに気付く。
「浸水してるのかな?」
ロディは足早に鍾乳洞を抜けると、大雨に襲われた。
「増水の理由は雨だったのか~。」
ロディはこれはたまらないと走ってスーニャの家を目指す。
魔物の気配を避けながらひたすら走る。
ザーザー降っているので視界が狭いし、においも感じられない。
ほとんど勘に近かったが、魔物に会わずにスーニャの家にたどり着いた。
家にたどり着いたころにはびしょびしょになっていた。
「すみませーん、スーニャさまー。雨が降ってきたので雨宿りさせてくださいー。」
ロディが家の前で叫ぶと、ドアが開いた。
「入れ。」
ドアを開けてくれたのはあの少年だった。
「ありがとう。」
ロディは少年について入っていこうとすると、手を前に出された。
「コレで拭いてから入ってこい。」
タオルを渡されて、ロディは素直に受け取った。
「ありがとう。」
ロディはタオルで服の上から全身を拭うと、少年に手を出されて首をかしげた。
「タオルを貸せ。」
「あ、はい。」
少年はロディから奪うようにタオルを取ると、奥へと向かった。
「ついてこい。」
少年に言われるまま、ロディは奥へと入っていった。
「早かったなぁ、ロディスティルリー。」
スーニャは椅子に座ってのんびりとお茶を飲んでいた。
「雨が降ってきたので。雨宿りさせてもらってありがとうございます。」
「よいよい。お前さんも村に帰ると面倒じゃろうて。泊まって行きなさい。」
「ありがとうございます。」
「とりあえず、座りなさい。荷物もそこへ置いて良い。」
「はい。」
ロディは傍にあった木製の椅子に座った。背負っていた荷物を横に置く。
奥へ行っていた少年が戻ってきて茶を出した。
「ありがとう。」
「礼などいらん。おいスー爺。俺はもう上がるぞ。」
「まあ待て、イシュレイ。そこへ座れ。」
「なんだ?」
スーニャに言われて、不服そうに少年が椅子に座る。
「ロディスティルリー、こいつはイシュレイ=アーヌベルグ卿。所謂貴族の坊ちゃんだ。まあ、気にせず使ったらいい。わからぬことがあればこやつに聞け。」
「はい。イシュレイさん、よろしく。わたしはロディスティルリー=アポロス。ロディと呼んでください。」
「ああ。イシュレイでいい。」
「イシュレイ、晩飯の用意も頼むぞ。」
「っくっ、わかった。」
イシュレイが奥の部屋に行くのを見て、ロディが尋ねた。
「どうして貴族様がここで晩ご飯をつくっているの?」
「あやつはここで魔導師見習いをしとるのじゃよ。」
「魔導師?魔法使いや魔術師とは違うのですか?」
ロディはスーニャの言葉に首をかしげた。
「魔法を使って仕事をするものが魔法使い。魔石をつくることができる者が魔術師、魔法と魔術を極めた者が魔導師じゃ。」
「賢者様みたいな人のこと?」
「賢者とは知恵者であり、他人が勝手に名付けた者よ。魔導師は探求者。まあ、わしのような者じゃのう。わしは魔導師であり、他者から賢者と呼ばれる。」
「では、イシュレイは賢者様を目指して修行しているんだ。」
「そうじゃのう。まあそろそろ放り出したいんじゃが。」
「え?」
放り出すという言葉にロディが驚いていると、スーニャがさらに続ける。
「魔法使いとしてはまずまず。魔術師としては経験不足。ならば冒険者として経験をつませたいのじゃ。ロディスティルリー、よかったらイシュレイを連れて行ってよいぞ。」
「連れて行っていいって言われても・・・今日会ったばかりでよく知らないから。・・・仲良くなれたらそれもいいかも。」
「ほっほっほ。まあその辺りはおぬしが気に入れば誘ってみるが良い。」
スーニャが笑っているのを見て、緊張していたロディも微笑んだ。
設定10 イシュレイ=アーヌベルグ。現在スーニャの元で修行中。
8歳まで家庭教師付で魔法を習得。
それからスーニャの元で魔法と魔術を修行中。
貴族としての学習は8歳までで完了しているので、
現在は家業である宮廷魔術師になるための修行をしている。
スーニャは親のつて。だが、スーニャが面倒くさがりなので、
家事全般を魔法でイシュレイがしている。
スーニャ曰く、「全てを魔法ですれば技術力が上がる」
魔法の精度をあげるには、とても効率がよいらしい。




