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【視覚強化】でいろんなものが見える様になりました。  作者:
第1章 【視覚強化】って?

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第5話 ユニーク

「ユニークスキルかぁ、そうだったらいいなとは思った事は何度もあるけど、実感湧かないなぁ」


と、口では言うが、大嘘だ。実感が湧かないわけがない。

いきなり視界に映る人が全員スケスケになったのだ。実感という見えない何か殴りつけられた気さえする。


ユニークスキルとは、世界中でたった一人だけが持つスキルだ。特別感はあるが、必ずしもダンジョン攻略に向いたものとは限らない。

例えば世界的に有名な事例として、十年ほど前にアメリカの防衛省のシステムがハッキングにより"ぐぅ"の音も出ないほど完璧に乗っ取られた事がある。犯人は【ハッキング】というユニークスキルを持つ人物で、アメリカはその人を逮捕せずに逆にハッキング対策の技術者として膨大な金額で雇ったと言う話だ。真偽は別として。

そう言えば、最近駅前におにぎり屋が出来て、そこの店主は【握り飯】というユニークスキル持ちだと言う噂なんかもある。


「あぁ、ほぼ全てのスキルを知っていると自負する俺が言うんだ。間違いない。ほら見てろ?」


平田さんが戻ってくると、父さんにニッコリと笑いかけ、また向かいに座った。


「結都君、おめでとうございます。結都君の【視覚強化・大】のスキルは、今までに一度も報告されていない、ユニークスキルとなります。長らく待った甲斐がありましたね」


「え、えぇ。ありがとうございます。ではどう言った効果のスキルかはよく分からないんですね?」


「そうなりますね。可能であれば、効果がわかった際にどう言ったスキルか教えていただけると助かるのですが…」


ぐわあああああ、マジで助かった。

世界中で俺しか持ってないなら、透視能力については黙秘の方向でいこう。


「どうですかね?そもそも【視覚強化】の方はどういった効果があるのですか?それの強化版と考えたら何かわかるかもしれません」


「そうですね。【視覚強化】のスキル詳細をここにお持ち…」

「やっぱりわかりやすいのは静止視力、動体視力の二つだな。遠くのものがよく見える、動いてるものがハッキリと見える、その二つが一般的な意味での視力だ。

ただ【"視覚"強化】だからな。それ以外にも視野が広くなる、距離感が掴みやすくなる、昨日言った通り、暗闇でもよく見える、という効果もある。もしかしたら注意力なんかも関係してるんじゃないかと俺は思ってるが」


説明に割り込んだ父さんに苦笑いしながら、平田さんが【視覚強化】の詳細が書かれている紙を差し出してくる。用意してくれていたとは流石だ。


「試しに何か遠くのものを見てみたらどうだ?」


「遠くって言ったって…」


辺りを見渡すが、建物の中なので遠くといえども限界がある。うーん。それなら何か小さい物…。あ……


「マジかよ………」


思わず声が漏れた。


「何を見て…?ん?ギルドマスター?」


俺が見ていたのはカウンターの向こう側。デスクがたくさん並んでいる一番奥の席。

多分お偉いさんだろう。渋いおじさまがこちら向きに座ってパソコンの画面を睨みつけている。距離は十五メートルくらいかな?


「ギルドマスターがどうかしたか…?」


「いや、じーっと見てたらさ、なんかカメラのズーム機能みたいに、すごい小さいものも見えるっぽい。あのお偉いさん、真面目な顔してるけど、パソコンでエロ動画見てる」


父さんと平田さんが顔を見合わせる。

そして二人で席を立つと、まるで忍者の様な動きでギルドマスターの後ろまで回り込む。あの人も一番端の席だからって油断してるな…。いやパソコンの画面に夢中なのか。


「あ、どうやら当たってたっぽい」


平田さんにめっちゃ怒られてる。

あ、ゲンコツ。容赦ない一撃だ。彼女もさては元探索者だな。ハラスメントとか大丈夫か?部下が仕事中にエロ動画見てる上司をどついたら何のハラスメントになるんだろ。

いや、普通に傷害か。


父さんと平田さんが二人で戻って来た。


「見てたな…」

「見てたわ…」


二人して大きなため息をつく。


「何で分かった?こっからじゃどうやっても画面なんて見えないだろう。視力関係なくないか?」


「目だよ。ギルドマスターの瞳にPCの画面が映ってた」


二人はまたしても顔を見合わせる。


「【視覚強化】の視力がどれくらいになるか、載ってたよな?」


「え、えぇ…っと。3.0ですね。1.5mmの物が5mから認識できれば1.0と言われてますから、視力3.0は0.5mmのモノを5mから判別できるくらいとなりますね」


うーん………分からん!


「分かりにくいな…」


「私もハッキリとは分かりませんが、その倍以上は絶対ありますね」


やっぱり通常の【視覚強化】よりも性能はいいみたいだ。なんならまだまだ見える気がするもんな。ちなみにギルドマスターが見てたのはたぶん熟女モノだった。言わないけど。


「そんなに見えても使う場面はあまりないだろうけどね。でもよく見えるっていうのは分かりました。他にも効果が分かれば、その都度お伝えするという形でいいですか?」


「そ、そうね。ちなみにダンジョンに入る予定はありますか?」


「はい、できるだけ早く入りたいです」


探索者!早くなりたいよ探索者!

早くこの力を試してみたい!そしてついでにこの連日の暑さから逃れたい!


「それでしたら資格講習があります。平日は希望があればいつでも実施できますので、今日受けられますか?時間は一時間ほどです」


「え?今日受けられるんですか?助かります!」


俺は二つ返事で講習を受ける事にした。

それにしても申し込んで当日で受けられるなんて、探索者ギルドはすごいなぁ。どんな講習なんだろう?

やっぱり実技講習とかあるのかな?うわっ!どんな武器を使うかくらい決めておけば良かったかなぁ!?


そんな感じでそわそわしていたのだが、いざ講習が始まってみたら、DVDを一時間観るだけだった。


そりゃいつでもどうぞだわ。


期待して損した。とまで思っていたが、内容としてはめちゃくちゃタメになった。


まず最初の内容は、自分に合った武器の選び方からだった。おすすめは槍らしい。そもそも生き物を殺せるか、という点が最初の関門みたいだ。槍ならモンスターとの間に物理的な距離を取れるため、精神的に楽だし怪我もしにくい。

剣を使いたい人も、最初は槍で慣れる方が無難と言っていた。


次はダンジョンに入る際の準備だ。

たとえ初級のダンジョンでも、ちゃんとした準備は必要らしい。だいたい一層分の移動時間は、最小限の戦闘で二十分くらい。例えば五層まで行って帰ってくるなら、往復の移動時間で二時間半は見ておかなければならないことになる。

食べ物やポーション類、予備のナイフなど、軽いトレッキング程度の荷物は必要みたいだ。


あとは、ダンジョンに入る際の危険に関して。

ダンジョンが出現する前と比べると、10代から30代の死亡率は約五倍に増加している。それも三十年前との比較なので他の要因も関係しているだろうが、ダンジョンでの死亡数が大きく関係しているとか。


特にダンジョンが出現した年には、死亡数が約二十倍まで跳ね上がったと中学の社会で習った。当時はダンジョン内の情報も少なく、ダンジョンに入っていった若者の半分は死んだとされている。


ちなみにダンジョンでもし命を落としたり大怪我をしても探索者ギルドは関知しないらしい。しかし探索者間でのトラブルや、ダンジョン内でのマナーなどについては厳しく取り締まってくれるし、武器防具やポーション類の販売、探索者のサポートやパーティの斡旋などもしてくれるそうだ。


「ふぅ」


たった一時間の内容だったが、勉強になった。

ほとんどが知っている内容ではあったが、これからいざ向かうとなると、他人事ではないという気持ちで受けられたと思う。


「さぁ、いよいよ明日、初めてのダンジョンに行ってみるかな」

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