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無気力系召喚者、覚醒する  作者: 火川蓮
第六章

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chapter48 ケイタの評価とウルフの毛皮

副支部長室――簡素な会議机を囲み、数人の職員と一人の冒険者が集まっていた。

机の上には報告書が一枚。

そこに記された内容に、誰もが言葉を失っている。


「……単独で、殲滅?」


沈黙を破ったのは、査定担当の職員だった。

手元の資料を見直しながら、信じられないというように呟く。


「ゴブリン百以上に加え、ナイト、ジェネラル……そしてキング。これが一人の戦果だと?」


「ありえねぇな」


低く言ったのは、壁にもたれて腕を組んでいた男――支部付きのベテラン冒険者だ。


「その構成はAランク依頼だ。パーティーでも慎重にやる規模だぞ」


「だが、報告は事実だ」


短く言い切ったのは、ギルドマスターだった。 


「現場にいたのはあたしだ。あいつに任せたのもな」


その一言で、場の空気が変わる。

疑念は消えない。だが、否定もできない。


「……本当に単独、ですか」


職員の一人が慎重に問う。


「ああ。空から制圧してたよ。手際も良かった」


ギルドマスターは肩をすくめた。


「正直、あそこまでやるとは思ってなかったがね」


再び沈黙が落ちる。

やがて、別の職員が口を開いた。


「では……ランクの昇格を打診すべきでは?」


「もうしたさ」


ギルドマスターは即答した。


「断られた」


「……は?」


全員の視線が集まる。


「理由は“普通に上がりたいから”だとさ。不正を疑われるのは面倒なんだと」


その言葉に、今度は別の意味で沈黙が訪れる。

ベテラン冒険者が、小さく息を吐いた。


「……そこまで分かってるのか」


「新人とは思えんな」


「だろ?」


ギルドマスターは口元を歪めた。


「だからランクは据え置きだ。だが――評価は別だ」


机の上の報告書を指で叩く。


「今回の件はAランク依頼として処理する。報酬は金貨二十枚」


誰も異論は挟まなかった。


「……とんでもないのを拾ったな」


誰かの呟きに、ギルドマスターは小さく笑う。

「拾ったんじゃないさ」


その視線は、窓の外へ向けられる。


「勝手に現れたんだよ」


ギルドマスターがそう言うと、査定担当の職員が思い出したように口を開いた。


「そいつって、ケイタってやつか?

数日前に“疾風の殲滅者”が現れたって噂になってたし……

フォレストウルフの死体が、やけに綺麗でな。傷一つなくてよ。領主様が定価の五十倍で買っていったんだ」


その一言に一同は固まった。


「また状態のいいやつを手に入れたら、売ってくれと言われたよ」


査定担当は淡々とそう告げた。

誰も、軽口を叩く者はいなかった。

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