chapter45 異名
オレたちは――ゴブリンの群れを見つけ、殲滅した。
正確には、オレひとりで殲滅した。
百匹を超える群れ。
その中にはゴブリンキングもいたが……なんとかなった。
一緒にいた先輩冒険者たちは口をぽかんと開け、引率していたギルマスは腹を抱えて笑っている。
(あれ? ゴブリンたちを倒すのが目的だったよね?)
しばらくして、笑い終えたギルマスが、ひょんなことを言い出した。
「“疾風の殲滅者”――ってところかね」
突然の言葉に、オレは固まる。
(……なに? その恥ずかしい名前)
ヤキモキしているオレを見て、ギルマスは軽く背中を叩いた。
「しっかりしな。異名を持つのは、冒険者にとって光栄なことだよ。
私も昔は“土槍のマーベル”と呼ばれていてね」
懐かしむように目を細めるギルマス。
「土魔法が得意でね。地面から槍を突き出して敵を仕留めていた。
それで“土槍のマーベル”さ」
そして、肩をすくめて続ける。
「ウォルアの小僧だって、“銀狼”、“銀の閃火”、“白銀の爪”――色々呼ばれてる。
強い冒険者の宿命だ。諦めな」
その言葉は、オレの心情を見透かしたように響いた。
思わず深く息を吐き、オレは異名の恥ずかしさを胸の奥へ押し込んだ。
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