chapter42 殲滅完了
side:ケイタ
オレは残ったゴブリンたちを確認するため、ゆっくりと高度を落とした。
視界に映るのは――
ゴブリンナイト二体、ゴブリンサージェント四体、ホブゴブリン四体、下位ゴブリン五匹。
「……だいぶ減ったな」
さっきまで百を超えていた群れは、今や面影すらない。
地上に残っているのは、辛うじて形を保つ戦力だけだった。
「それでも、逃げないのか」
オレは小さく呟き、視線をナイトへ向ける。
指揮を執っているのは、あの二体。
他の個体も、そいつらの動きに合わせている。
「ちゃんと統率は取れてる……か」
完全に崩壊してもおかしくない状況で、それでも立っている。
「……上位種ってやつは、やっぱ違うな」
少しだけ感心しながら、高度をさらに落とした。
すると――ナイトの一体がこちらを睨みつける。
「……やる気満々ってわけか」
思わず口元が緩む。
風を纏い、空中に足場を作る。
「――最後まで付き合ってやるよ」
そう言い終えた瞬間、ゴブリンナイトが下位ゴブリンを踏み台に跳躍。
武器を振るい、オレに攻撃を仕掛けてきた。
咄嗟に後ろに下がり、地面に着地する。
「あぶな――掠めたよ」
高度を下げたのが仇になったか。
血は出ていない、薄皮が切られただけ。赤切れって地味に痛いんだよね。
地面に降りたことで、ゴブリンたちは好機ばかりに突っ込んでくる。
「ヴァカメ!!」
オレはゴブリンたちに向け、魔法を発動させた。
「《エクラファイア》」
はじける火をイメージし、ゴブリンたちの中心で炸裂させる。
ファイアボールを内側から爆発させたような感覚――火の破片がゴブリンたちに飛び散り、傷を負わせる。
全員、その場で転げ回った。
しばらくして立ち上がるゴブリンたちは、オレを睨みつける。
「ギギギギ!! 人間、許サナイ!!」
ゴブリンナイトが目を真っ赤にして突進してくる。
「ふむ、これしきのダメージじゃ、全然だな」
面白い魔法ではあるが――たいしたダメージにはなっていない。
なら、王道を行くしかない。
「《ファイアアロー》」
文字通り、火の矢を放つ。
しかしゴブリンたちは軽々と避ける。
「ならば……次だ。 《ファイアフォールド》」
火を折りたたむイメージで球体を作り、ゴブリンたちの近くに放つ。
着弾と同時に爆ぜ、ゴブリンたちを吹き飛ばした。
手榴弾のような感覚――折りたたまれた火の間の空気が衝撃を受け、強烈に膨張したのだろう。
熱波が周囲を包み、オレは咄嗟に空中に逃げた。
目を確認すると――全員の体の一部が吹き飛んでいた。
「ゴブリンの群れ、討伐完了でいいんだよな?」
そう呟くも、答える者はいない。
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