chapter41 崩壊する群れ
side:ゴブリン
熱風が薙ぎ払った。
次の瞬間――そこにいたはずの仲間たちが、消えていた。
「……何が、起きた?」
ゴブリンナイトの一体が、低く呟く。
前列にいたサージェント、ホブゴブリン、そして下位のゴブリンたち――その大半が、肉を裂かれ、焼かれ、地に伏していた。
理解が追いつかない。
だが、ひとつだけ確かなことがある。
「……数が、減りすぎている」
ナイトの言葉に、周囲のゴブリンたちがざわめく。
「隊列を維持しろ!! 逃げるな!!」
サージェントが叫ぶ。
しかし、その声に従う者は、もはや半分もいない。
空を見上げる。
そこにいるのは――ただ一人の人間。
「人間……一人、だと?」
別のナイトが低く唸る。
たった一人。
それだけのはずだ。
それなのに――
「なぜ、減る……?」
誰も答えられない。
石が投げられる。
棍棒が振り上げられる。
だが、どれも届かない。
当たらない。
「撤退を……! このままでは――!」
サージェントの一体が声を上げる。
「黙れ!!」
ナイトが怒鳴りつけた。
「敵は一人だ!! 数で押せば――」
言いかけて、止まる。
視界に映るのは、わずかに残った戦力。
ナイトが一体。
サージェントが四体。
ホブゴブリンが四体。
そして――震えるだけの下位種。
「……」
沈黙が落ちる。
「これは……」
ナイトは、ゆっくりと空を見上げた。
空を駆ける存在。
届かない敵。
理解不能の力。
「……人間ではない」
その言葉に、誰も反論しなかった。
だが――
ナイトは剣を構える。
「それでも、退かぬ」
低く、しかしはっきりと告げる。
「ここで退けば、群れは終わる」
その言葉に、残ったゴブリンたちが顔を上げる。
「構えろ」
ナイトの声は、もはや怒号ではない。
覚悟だった。
「来るぞ」
空を見上げる。
そこには――こちらを見下ろす人間の姿。
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