chapter33 規格外の討伐とランクアップの打診
無事――塩を手に入れたオレは、ギルドで手頃な依頼を受け、街の外へ出た。
塩の値段は、五十グラムで銅貨二枚。
香辛料や宿代など出費は多いが、手持ちにはまだ余裕がある。
地道に稼いでいこう。
そんなことを考えながら、依頼であるゴブリンを討伐する。
耳を切り落とし、魔石を抜き取り、死体はアイテムボックスへ収納した。
「さて、やりますか」
オレは――火魔法を習得するため、魔法の練習に取りかかった。
■ ■ ■
そして夕方。
ちょっとしたトラブルはあったものの、見事――火魔法の習得に成功した。
さすが異世界。危険が多い。
それにしても、五十匹以上のゴブリンに襲われたうえ、十匹を超えるフォレストウルフにまで狙われるとはな……。
……全部始末したけど。
そういえば、一匹妙なフォレストウルフがいた。
体から小さな刀のようなものを生やした個体だ。
風魔法をその刃で叩き落とされ、少し手こずったが――
顔面に一撃叩き込んだら、あっけなく倒せた。
ゴブリンとフォレストウルフの死体を再び収納し、オレは街へと帰路につく。
■ ■ ■
宿に戻る前にギルドへ立ち寄り、依頼完了の報告と解体を頼んだ――のだが。
当然のように、騒ぎになった。
ギルドの作業員たちが解体を進める中、受付のお姉さんがギルドマスターを呼びに行く。
オレはその様子を眺めながら待っていると――やがてギルマスが現れた。
「またお前さんかい」
ギルマスはため息を吐いた。
「人をトラブルメーカーみたいに言うのはやめてください」
オレは抗議する。
「それで、“どういうことなのか”説明してくれるんだろうね」
「もちろん」
ギルマスの圧にも動じず、オレは包み隠さず事情を話した。
「なるほど。新しい魔法を習得するために練習していたら襲われて、返り討ちにした――そういうことかい?」
「そうです。邪魔してきたので始末しました」
そう答えると、ギルマスは頭を抱えた。
「ケイタ、だったかい?」
「そうですよ」
「言っておくが――ゴブリンの群れにも、フォレストウルフの群れにも上位種が混じっていたそうだ。
それを、登録したばかりの新人が即殲滅なんて……ありえない話だよ」
だが、とギルマスは続ける。
「“物的証拠”がある以上、認めざるを得ない。
私の権限でランクを引き上げる。――いいね?」
空気が変わった。
先ほどとは比べものにならない圧――威圧感が場を支配する。
それでも、オレは一歩も引かない。
「嫌です」
即答だった。
「なんでだい!?」
ギルマスが不機嫌そうに声を荒げる。
「目立ちたくないからです。
登録して三日も経っていないのに高ランクになれば、冒険者にもギルド上層部にも目をつけられる。
不正がなくても疑われる――そんなのはごめんです」
理由を説明すると、ギルマスは深くため息をついた。
「……はぁ、わかったよ。
“今は”それでいいさ」
そう言って、作業員たちに指示を飛ばしながら、その場を後にした。
読んでくれた方ありがとうございます
誤字、脱字などの不自然な文章があれば、指摘お願いします
他の作品も読んでくれたら、嬉しいです
面白いと感じたら、評価やブックマークお願いします




