chapter32 調理前の落とし穴
香辛料を手入れし、朝食を食べ終えたオレはギルドに向かった。
中に入り、受付のお姉さんに事情を説明すると、裏へ通されてフォレストウルフの肉を受け取る。
大型犬ほどのサイズだったはずだから、それなりに大きかった記憶があるが、今は部位ごとに切り分けられていた。
「ありがとうございます」
礼を言い、その場を後にしようとする。
これで売れば銀貨二枚らしい。
朝――市場に行ったとき、銀貨を超える品は一部の香辛料くらいだった。
五十グラムほどで銀貨二枚。正直、高い。
ほかは鉄貨か銅貨ばかりだ。
香辛料を買うときに、この世界の貨幣について色々と聞いた。
基本、市場では銀貨はご法度らしい。
“高すぎておつりが出せない”のだとか。
鉄貨百枚で銅貨一枚、銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚。
つまり、日本円にするとこうなる。
金貨 =10万円
銀貨 =1000円
銅貨 =100円
鉄貨 =1円
そして金貨二枚あれば、四人家族が三か月は暮らせるらしい。
だが市場が値を吊り上げれば生きていけないため、朝と夕方に露店を開き、昼は冒険者として稼ぐ者も多いのだとか。
なかなか厳しい世界だ。
まぁ、知識を深めて自分でやれば、その分費用は浮く。
安く仕入れて高く売る――商売の基本ということか。
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。
「おい、本当に食うのか?」
「やめておいた方がいいと思うぞ」
解体してくれたギルドの作業員――ファーテルさんとリズトルさんだ。
「香辛料も買いましたし、試してみたくて。
ダメなら魔物の餌にします」
そう答えると、
「そうか、もうそこまで覚悟があるのか」
「なら、オレたちはなにも言わねぇよ」
二人に一礼し、その場を去った。
■ ■ ■
肉があっても、焼けなければ意味がない。
ということで、火魔法を頑張って習得することにした。
風魔法を習得したときの要領で、火魔法もいけるはずだ。
ギルドの人たちすら嫌悪する肉――どんなものなんだろうな。
そんなことを考えていると、ふと気づく。
「……あ」
一番大事なことに。
「塩……買ってないじゃん!!」
まだ市場、やってるか……?
そう呟き、オレは急いで市場へと向かった。
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