三者三様
「わたくしカイルさまの許嫁のフレインと申します」
場所を宿屋に変えてフレインがアイリスさんに自己紹介をする。
「へー、カイル君許嫁なんていたんだぁ。ふーん」
なんですかその目は。
「許嫁っていっても親同士が決めただけですし、俺はもうテオール家とはなんの関係もない人間なんで……」
俺はなぜアイリスさんに弁解しているのだろう。
「ひどいですカイルさま! わたくしはあなたのために花嫁修業を今日までしてきたというのに」
どこからともなくハンカチを出す。が、涙は出ていない。
「まあまあフレインさん――」
「あ、アイリスさんフレインは俺と同い年なんでタメ語でどうぞ」
「そう? じゃあフレインちゃん。あなたの気持ちはわかるけど結婚てお互い好き同士がするものでしょ。だから一方的にフレインちゃんだけが好きでも結婚は出来ないんじゃないかなぁ」
「アイリスさん勘違いしないでください。わたくしはカイルさまのことはこれっぽっちも好きではありません。むしろ嫌いな部類の人間に属します」
「え? だってフレインちゃんはカイル君と結婚したいんだよね」
「はい。生まれる前からそう決まっていますので」
そうなのだ。フレインは決して俺のことが好きなわけではない。許嫁だからという理由一本でここまで来たのだ。
「なぁ、俺たち今日は歩きっぱなしで今すごく腹減ってるんだ。だからこれから食事に行くから話は明日にしないか。アイリスさんもそれでいいですか?」
「そうね。わたしもお腹ペコペコ」
「わかりました。そういうことでしたら明日出なおしてきます」
物分かりが良いのか悪いのかフレインは納得してくれたようだ。
とりあえずこれで落ち着いて食事が出来……あっ、食事できる場所、まだ探してないって言ったらアイリスさん怒るかなぁ。




