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もう1つのロストテクノロジー  作者: 維岡 真
第1章 周期と位相

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18/81

二度目の遮断

午前10時14分。


揺れ。


八秒。


志乃は無意識に手を握り込んだ。机の縁が指に食い込む。抑える、というより、耐えるための反射だった。


その瞬間――


北区、南区、中央区。


三区域同時に、霊気灯が落ちた。


三秒。


都市が暗転する。


一拍遅れて悲鳴が上がり、次いで別の音が重なる。ブレーキ。クラクション。人の足音。

交通制御が一瞬乱れ、信号の切り替えが揃わない。交差点の空気が凍る。


だが非常系が復帰する。

予備回路が噛み合い、光が戻る。


三秒。


たった三秒。

それだけで十分だった。


「落ちた」という事実より、「落ちる」という可能性が都市全体に染み渡った。

都市は、沈黙した。


これは偶発ではない。

明確な異常だ。


中央塔内部。


監視モニターの表示が、ひとつ赤に切り替わる。


「遮断、第二段階作動」


保護回路が強制的に出力を切った。

逆位相が制御限界を越えた――その判定が、機械の速度で確定される。


室内の誰かが唾を飲み込み、ようやく声にする。


「次は……全域の可能性がある」


誰も否定できなかった。

否定できるだけの余裕が、もうどこにも残っていない。

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