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二度目の遮断
午前10時14分。
揺れ。
八秒。
志乃は無意識に手を握り込んだ。机の縁が指に食い込む。抑える、というより、耐えるための反射だった。
その瞬間――
北区、南区、中央区。
三区域同時に、霊気灯が落ちた。
三秒。
都市が暗転する。
一拍遅れて悲鳴が上がり、次いで別の音が重なる。ブレーキ。クラクション。人の足音。
交通制御が一瞬乱れ、信号の切り替えが揃わない。交差点の空気が凍る。
だが非常系が復帰する。
予備回路が噛み合い、光が戻る。
三秒。
たった三秒。
それだけで十分だった。
「落ちた」という事実より、「落ちる」という可能性が都市全体に染み渡った。
都市は、沈黙した。
これは偶発ではない。
明確な異常だ。
中央塔内部。
監視モニターの表示が、ひとつ赤に切り替わる。
「遮断、第二段階作動」
保護回路が強制的に出力を切った。
逆位相が制御限界を越えた――その判定が、機械の速度で確定される。
室内の誰かが唾を飲み込み、ようやく声にする。
「次は……全域の可能性がある」
誰も否定できなかった。
否定できるだけの余裕が、もうどこにも残っていない。




