灰燼の中から生まれた帝国:LEGOが世界を変えるまで
デンマークの木工職人、Ole Kirk Christiansen の半生は、どこか悲劇めいている。貧しい子だくさんの家庭に生まれ、愛妻には早くに先立たれ、世界恐慌の波に呑まれて全従業員の解雇を余儀なくされた。おまけに、息子の Godtfred が遊んでいる最中に、誤って自らの木工作業所を全焼させてしまったことすらある。
だが、そんな過酷な環境にあっても、彼は温厚で実直な、子供を愛し、職人技に並々ならぬ情熱を注ぐ人物へと成長した。恐慌の最中、木製玩具の注文だけは落ち込むどころか増えていることに気づいた彼は、1932年、事業の舵を玩具製造へと大きく切る。「子供たちから玩具を奪ってはならない」——そう信じた彼は、デンマーク語の「Leg Godt(よく遊べ)」をもとに、自身のブランドを「LEGO」と名付けた。
第二次世界大戦後、民間企業でもプラスチック素材が手に入るようになると、Ole Kirk は革新と市場拡大を目指し、大胆にもプラスチック製玩具の開発に乗り出した。1949年、LEGOはブロックの上部に不思議な突起を設ける画期的なデザインを考案し、これによってブロック同士を組み立てることが可能になった。当時の消費者の反応は冷ややかなものだったが、この設計こそが、のちのLEGOブロックの未来の形を決定づけることとなる。
この頃、彼は会社を息子の Godtfred に譲り、ここからLEGO帝国の真の快進撃が始まった。そう、「私の人生最初の功績は、家と作業所を灰燼に帰したことだ」と語った、あの跡取り息子である。
今や、LEGOを「世界を変えた玩具」と呼んでも過言ではないだろう。1996年、スタンフォード大学の地下研究室で、Googleの創業者である Larry Page と Sergey Brin が、LEGOブロックを使って初代Googleサーバーのケースを組み上げたのは有名な話だ。彼らと同じように、無数の子供たちがLEGOと共に幼少期を過ごし、大人になってもなお、この色鮮やかなブロックに魅了され続けている。テクノロジーや漫画、建築などあらゆる分野で活躍する者もいれば、「世界で最も幸せな職業」の一つと言われるLEGO認定ビルダーになる者もいる。
これらの小さなブロックは、人類の想像力と創造力の結晶である。「子供に玩具は欠かせない」と Ole Kirk Christiansen が固く信じたように、それは大人にとってもまた、同じなのだ。
#人類を変えた足跡 シリーズ物語 第六十三回
LEGOを生み出したオーレ・キアク・クリスチャンは1891年4月7日デンマーク西部のユトランド半島の貧しい農家の13番目として誕生し、幼少から羊の世話などをし育ち貧しさゆえおもちゃなどを買ってもらえず自ら木製のおもちゃを製作するなどの幼少期を過ごした。




