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条例都市  作者: こころ
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眠りを望む者

「炙り出すとは言っても、

相手も相当警戒しているだろう。」

「しかし、必ずまた何かしらの

アクセスがあるはずだ。」

メグミは全員の顔を見渡しながら続けた。

「実は既に、システムへの干渉できる部屋には

監視カメラを設置した。

さらに、アクセスした瞬間に、

私の端末に通知が入るシステムを

組み込んでもらってある。」

そういうと、自分の端末を掲げてみせた。

「ここから先は、長期戦も否めない。」

「しかし、必ず裏切り者を捕らえる。」

メグミの力強い言葉に、

マユミ一人慌てたように尋ねた。

「か、監視カメラっていつ取付たんですかー?」

「先週末だ。」

メグミの答えに、部屋が静まる。

「ログを見る限り、

最終アクセスが先週の水曜日です。」

手元の報告書を見ながら、カナメが続ける。

「ですので、監視カメラ設置後のアクセスは

今の所確認できておりません。」

「仮に動くとすれば、近くだろう。」

メグミは、端末を見つめながら続けた。

「皆は、普段通りに任務にあたって欲しい。

以上、解散。」


幹部達が出払った部屋にメグミは一人残り、

壁のモニターを見つめている。

裏切り者は必ず、ALICEに干渉してくる。

「しかし、なぜこんなことをしているのか。

動機がわからない。」

腕を組み、目を閉じて考える。

「組織の崩壊?いや、違うな……。」

「何かしらの意図があるはずだ。」

独り言を言いながら、端末へと目をやる。

「さっきの話に、

うまく引っかかってくれればいいんだが。」


その頃、幹部室を出たマユミは、廊下を歩いていた。

「……まずいですー。」

小さく呟き、周囲を見回す。

誰もいない。

それを確認すると、歩く速度を少しだけ速めた。

「先週末に監視カメラ……?」

メグミの言葉が頭から離れない。

もし本当に設置されているのなら、今までのように

システムへアクセスすることはできない。

いや――。

「それなら、別の方法を……」

そこまで呟いたところで、マユミは足を止めた。

自分が何を口にしたのかに気づいたからだ。

「……私、何を考えてるの。」

自分自身に言い聞かせるように呟く。

そして、何事もなかったかのように歩き出した。


その夜。

都市全体が静まり返った頃。

ALICEの管理区域に、一人の人影が現れた。

足音を殺し、周囲を確認する。

そして、誰もいないことを確認すると、

扉の前で立ち止まった。

認証端末に手をかざす。

――ピッ。

「……。」

扉が開く。

その人物は迷うことなく、室内へ入っていった。

暗い室内で無数の機器が小さな光を点滅させている。

その奥にある端末へ近づき、端末を起動した。

――その瞬間。

別室に置かれた端末が、静かに振動した。

メグミが目を開く。

「……来た。」

壁のモニターに、赤い警告が表示されている。

『ALICEへの不正アクセスを検知』

メグミは立ち上がり、端末に表示された

アクセス情報をじっと見つめる。


その頃。

ALICEの管理室では、侵入者が端末を操作していた。

「……よし。」

画面に表示されたALICEの管理領域。

そこには、いくつものアクセス権限が

表示されている。

侵入者はその中から一つを選択した。

そして――。

「ありす……。」

小さく呟く。

「もう少しで、この束縛から開放してあげるよ。」

その言葉を最後に、アクセスログが一瞬だけ乱れた。

メグミの端末に表示されていた警告が消える。

「……切ったか。」

メグミは椅子から立ち上がる。

「だが、十分だ。」

表示されたアクセス記録を保存する。

そして、その名前を見た瞬間。

メグミの表情が変わった。

「……この権限。」

それは、現在の幹部達には与えられていない

権限だった。

「まさか……。」

メグミは画面を見つめたまま、

しばらく動かなかった。


メグミの目に飛び込んできたのは、まさかのIDだった。

――佐野拓樹さの・ひろき

かつて、杉野ありすの恋人だった男。

そして今は、別の名で生きている人物。

その事実を知る者は、執行部の中でも私しかいない。

「……まさか、お前だったのか。」

震えるような声で、その名を口にする。


「タクロウ――」


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