迷惑親子
夕方近く、スーパーへ買い物に一組の夫婦が来ていた。
その日は土曜日ということもあり、店内は人混みに溢れていたが、
ゆっくりと買い物をする事はできた。
「今日は何食べようね。」
「昨日、麺類だったから。ご飯がいいかな。」
妻の問いかけに魚を見ながら、男は迷惑そうな表情をしていた。
その原因となるのが、近くで買い物カートで遊ぶ子供の存在である。
カートの子供用椅子に座る子供を、もう1人の子供が押している。
小学生の低学年くらいだろうか。
付近に母親らしき人物がいるが、それを諌めることなく、
時折注意するくらいだ。
「危ないなぁ、ぶつかったらどうするつもりだ?」
親の対応に苛つきつつも、男は妻と買い物を済ませ
早くこの店から出たいと思っていた。
妻の方も同じ気持ちらしく、近くに寄らないよう買い物を続けていた。
「肉系にでもしようか?」
男が精肉コーナーへ向かおうとしたその時、
「痛いっ!!」
ドン、と鈍い音とともに妻の声が店内に響いた。
振り向くと妻が足を押さえうずくまっており、その傍らに先ほどの
カートと子供が立ちすくんでいた。
男には何が起きたのか理解できた。
「大丈夫か?!」
駆け寄る男に、うずくまっていた妻は苦痛に顔を歪めつつ
「多分…」答える。
「何やってるんだ!危ないだろ!!」
男は子供に向かい、怒りをぶつける。
カートに座っていた子供は黙ってしまい、押していた子供もまた
黙って立っているだけだった。
「これは遊ぶ道具じゃない!」
頭の一つでも叩きたくなったが、その衝動を押さえる。
それでもまだ謝りもしない子供に苛立っていた。




