アルバイト
彼女は2人のやり取りを側で見ながら、
その場から逃げ出せずにいた。
自分の周りの異様な雰囲気にのまれたのもあるが。
それと、[隊長]。カナメと呼ばれた男は
自分より幼い目の前の少女に向かい
そう、確かに言っていた。
「隊長?」
こんな子供が?と、言いかけ言葉を飲み込む。
彼女の言葉に、少女が睨みつけた。
「さて、話が逸れたな。」
少女が改めて、彼女に向き直る。
「貴方は先の男の他にも数名、
似た関係の者がいるな。」
「先程も言った通り、金銭貰い、
行為をするのは売春と同じだ。
プレゼントだろうが現金だろうが本質は変わらん。」
言いながら、少女の視線は彼女に向けられている。
「それらを売り払って利益を得ているのでは、
私に言わせれば、金銭貰っているのと
何ら変わりないが。」
「貰ったものをどうしようと、私の勝手でしょ!」
少女の言葉に、カチンときて反論する。
「これはお小遣いとして貰っているだけだし!
売春なんて人聞き悪い。」
吐き捨てるように言うと
「だいたい、男が勝手に寄ってきて
お小遣いをくれているだけだし。
頂戴なんて自分から言わないわよ!」
ふん、と鼻で笑い
自分に非がないと少女へ言い返した。
「ふ、ふははは!」
「いや、失敬。あまりにも滑稽な話をし出すもので、つい。」
自分の口元に手をやり、笑い出した。
向かいの男はにはその姿を見て
顔が強張っているように見える。
「物は言いようだな。」
一呼吸置き、彼女に向かい軽蔑の眼差しを向けた。
「お小遣いか、なるほど。勝手に寄ってくる。
なるほどなるほど。」
「滑稽で愚かだな、貴方。」
「おろかって、」
「いや、自分から募集かけておきながら、
言うにこと書いて発した自分の台詞。
愚か、意外に何と言えばいい?」
変わらぬ軽蔑な眼差しのままではあるが、
発する言葉には怒りとも、
哀れみとも取れるようだった。
「対応する男も男だが、それに甘んじる女も女だ。
どちらも何ら変わらない。
私には愚か者にしか見えない。それにー」
「それに?」
「女は悪くない、という思考は私には理解できない。さっきも言ったが、誘いに乗る方も、
する方も愚か者だよ。」
冷たい目の少女は、男の方に向き直り、
「連行しろ。」
命令をすると女性に男が近づいてくる。
「男も愚かだが、
自ら正当化する者はさらに醜いな。」
ポツリ、呟いた。
「何か、言いましたか?隊長??」
カナメが聞く。
「いや、何でもない。行くぞ。」
今も抵抗している女性だったが、
自分より大きな男2人に抱え込まれ、
どうする事もできずそのまま連れ去られていく。
今までの騒ぎが嘘のように、
いつもの静かな駅前に戻っていた。
「彼女は本当の愛を知らないのですね!」
カナメの言葉に、少女は小さく肩を竦める。
「彼女にとっては、それが愛なのだろう。」
「もっとも。」
少女は鼻で笑った。
「わがままな子供のようだがな。」




