執行部隊
10名ほど入ればいっぱいになりそうな一室に、先のメンバーが集まった。
机は無い。壁にはこの街の地図と思われる物が貼り付けてあり、
いくつかの拠点にピンが刺さっている。
部屋の奥、隊長のメグミと向い合うようにタクロウが立つ。
手にした資料に目を落とし、報告を始める。
「・・・・と、以上が本日の対象者と判断した報告となります。どう割ますか?」
先程モニターに黄色で映し出された4枚の写真が壁の地図に張り出される。
その写真と地図を見ながら、ふむ、と考えると、
「こっちの車の方はマユミ、バイクはコウジ。
他二つは私、タクロウで対応だな。」
振り返って皆の顔を見た。
「ちょっといいですかね。」
コウジが手を挙げ、発言する。
「こっちは私よりマユミの方がいいかと思いますが。」
メグミが眉を顰め、問い返した。
「何か理由が?」
「いや、何、まぁ。何と言いますかね。」
と、言いづらそうなコウジ。
何かを察したタクロウは、変わりに説明した。
「男だと、逃げられる可能性がありますからね。
運良く停まっても、無視され行ってしまう可能性もある。」
「多少、色仕掛けを入れた方が、間違いないのでは?」
言いながら、メグミから目を逸らした。
「ふむ、なるほど。であれば、こっちを私が行っても・・・」
言いかけたメグミの言葉をコウジが遮る。
「いや、隊長ではむ・・・」
[無理]と言いかけたところで、ゴホン!とタクロウが
咳払いをしてコウジを止めた。
「?」
メグミが不思議そうに首を傾げる。
「い、いえ、何でも」
「何でも?何だ?」
鋭い眼差しにたじろぐコウジ。
「隊長、今はコウジの発言よりこっち。」
タクロウが壁の写真に指を向け、
「こっちマユミでコウジはこっち、ということでよろしく。」
と、2人に指示を出す。
「ふん、まぁいい。コウジの事は今は後回しだ。」
半ば納得いっていないメグミだったが、タクロウの言う通り、
こんな言い合いにかける時間はない。
「それでは、諸君。お仕事の時間だ。出発しよう。」
深く帽子を被り直し号令をかけた。
「カナメとヨシキは私に着いてこい。」
「はいっ!」
2人から元気な声が返ってくる。
「私も隊長と一緒が良かったなぁー」
残念そうにマユミが言いながらも部屋を出ていった。
「まぁ、成果あげて隊長に褒めてもらえばいいんでない?」
コウジが続いて出て行った。
やれやれ、一悶着が起きなかった事に安堵しつつ、タクロウが出ていく。
「先に行きますよ。」
「第一の危険者確保のち、タクロウへ指揮権を渡し、私は次へ向かうとしよう。」
カナメとヨシキを従え、メグミが部屋から出ていくと、静寂だけが残った。
カナメとヨシキを従え、メグミは部屋を後にした。
静寂の残る作戦室には、壁に貼られた四枚の写真だけが残される。
これから訪れる運命を、まだ誰も知らない。




