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条例都市  作者: こころ
12/45

自転車乗り

街の中を4台の自転車が走り抜けて行く。

先頭をミノル、後をアカネ、ミズキ、カズキが

キレイな列をなし、走っていた。

「道はキレイだし、走りやすい。」

アカネの率直な感想だった。

他の3人もそれを感じていただろう。

しばらく走ると前方を走る1台の自転車に捕まった。

ミノルは後ろへ手信号を送り、後方を確認する。

安全を確かめると、前を走る自転車を追い抜いた。

アカネ達も続く。

天候に恵まれたせいか、

今日はいつもより走れる感じだ。

少なからずテンションが上がっていた。

あと数キロほどで目的の山の入り口というところで、

ミノルが止まった。

道路工事だろうか。

進行方向が砂利で埋め尽くされており、

真っ直ぐに進めない状況だった。

「ありゃーこれは進めないねぇ。」

ミズキが後から様子を見て、

「反対側なら舗装されているし、

走れそうじゃない?」

と、舗装された側を指差して3人に尋ねた。

「でも、反対だと進行方向と逆走にならない?」

アカネは心配そうに、同意を求めるが、

「でもここしか行ける道はないぞ。」

ミノルはミズキの提案に乗り気だった。

「うーん、確かに。」

ミノルの言う通り、目的の[杉山]の入り口は

この道を進むしかない。

だからといって目の前の砂利道を進むなんて、

無謀な挑戦だ。

タイヤはパンクするかもしれないし、

最悪落車して大怪我するかもしれない。

悩んでいるアカネをよそに、ミノルとミズキは

反対側へ渡ってしまっていた。

後ろのカズキも

「車も来ないし、短い距離だ。

反対側から行ってしまおう。」

と、言い2人に続く。

アカネも仕方なく後に続いて、走り始めた。

距離にして数百メートルほど反対車線を走る。

対向車が来ないことを確認しながら進み、

砂利道を抜けたところで元の車線へ戻った。

その後無事に山の入り口に着いた4人は、

本格的に山道へ入る前に、道路脇のスペースに

自転車を停めて、一息入れた。

「ここから先が[杉山]だ。」

ミノルも息を整えながら、山頂を見据えた。

「距離にしたら5キロほどだけど。

結構激坂だから、ここからはマイペースでいこう。」

これから来るであろう疲労に対抗すべく、

入念に柔軟をしている3人に向かってそう告げた。

「OK!」

「了解。」

「はいよー」

各々、登る準備を始める。

「さて。じゃぁお先に。」

と、アカネがペダルを踏見込む。

その瞬間だった。

視界の端で黒い影が動いた

「わわっ!」

間一髪。

片足だけしかクリートが付いてなかったのもあり、

ぶつかることなく、また転ぶ事もなく、

アカネは停まる事ができた。

「危なかったー。」

黒い影の正体を確認したアカネは息を呑んだ。

目の前には上下黒の軍服姿で帽子を深く被った、

白い手袋の格好をした女の子が立っていたからだ。

「アカネ、大丈夫?」

3人もアカネに近づき、目の前の1人の少女を見て

同じように驚いていた。

「申し訳ない。」

少女はそう言った。

「貴方達をこれから連行させてもらう。」


帽子の下から黒髪が流れている。

切れ長の目だけが冷たく4人を見ている。

少女は感情のない声で続ける


「我々【執行部】に従ってもらう。」

少女の言葉に4人は耳を疑って、

お互いに顔を見合せた。

噂話で聞いた事がある。

法律とは別に条例を掲げた街がある。

その街には違反した者を処罰する部隊、

【執行部】が存在する。

ただの噂話だと思っていた。

だか、目の前の少女は確かに【執行部】と。

4人には信じられないといった状態で固まっていた。

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