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第61話:なんでもない(8)


「ねえ、ぽこ」


「なに? くう」


「ふふふ。……なんでもない」


二人は、錆びついた線路の上に座って、一羽の青い小鳥が毛繕いするのを眺めていました。


「なんでもない、ってなあに」


「あのね、小鳥さんが一回だけ、こっちを見てあかんべえをした気がしたから」


「ふふふ。なあんだ」


遠くで、止まったままの巨大な歯車が風に吹かれて「ギィ……」と鳴きました。


世界がどれほど壊れていても、二人の時計は、ただ「いま」という一秒だけを刻み続けていました。


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