表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
58/78

第60話:お支払いは「自分たちの顔」


二人の前に、巨大な「水晶の壁」が現れました。


『通行料:汝が今、その心に刻んだ「自分自身のカタチ」を、開門の鍵として捧げよ』


「あ、これ。またお供えの時間だねっ」


ぽこは、迷うことなく水晶の壁に手を当てました。


「……ねえ、ぽこ。いいの?」


くうが、壁の前で立ち止まりました。


「さっきの『レンズ』で見たとき、僕たち、とってもかっこいい姿だったじゃない。それを捨てちゃったら……僕たちは、誰になっちゃうの?」


くうは、自分の手のひらを見つめました。もし自分が「自分」でなくなってしまったら、隣にいるぽこのことも、わからなくなってしまうのではないか。そんな予感が、くうの胸をチクチクと刺しました。


「いいんだよ、くう。だって、お顔なんて毎日変わるものでしょ? そんなのより、あっちの『綿あめの雲』のところに行きたいもん。それにね、くう。僕たちが誰であっても、こうして手を繋いでいれば、それは『僕たち』だよ」


ぽこが目を閉じると、レンズを見て獲得した「自分たちの本来の姿」の記憶が、まばゆい光になって壁に吸い込まれていきました。


「……あ。いまね、頭の中が『ふわっ』てしたよぉ!」


壁が溶けるように消えていきます。


「ねえ、くう。僕たち、なんでこんなところに立ってるんだっけ?」


「えーっとね。……わかんない! でも、なんだか体が軽くなって、最高な気分だよっ」


二人は、自分が騎士だったことも、魔術師だったことも、かつて彼女に愛された「人間」であったことも、すべて水晶の向こう側に置いていきました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ