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第57話:かがみのなかの、しらないひと
「わぁ……! くう、見て見て。このレンズ、こっちに向けるとキミが映るよぉ」
ぽこが、前の話で拾ったひび割れた「魔導レンズ」を、くうの方へくるりと向けました。すると、レンズの中に映ったのは、くうの白い毛並みではありませんでした。凛々しい銀の鎧を纏った、背の高い青年の姿でした。
「わあ……! くう、このレンズの中に、とってもかっこいいお兄さんがいるよぉ!」
「ほんと? 僕にも見せて。……わあ、本当だぁ。ぽこのレンズには、黒いマントのかっこいいひとが映ってるよ!」
「ねえ、くう。このかっこいいひとたち、なんだかとっても……懐かしい顔をしてるねぇ」
二人は、レンズを交互に覗き込んで、自分たちの「本来の姿」を「知らないかっこいいひと」だと思いながら、無邪気に笑い合いました。後ろで女の子が、震える唇を押さえて目を伏せていることにも、気づかずに。




