56/78
第58話:ぎんいろの指先と、三つ編み
後ろをついてくる女の子が、二人のために「銀色のクシ」を取り出しました。
「……毛なみがボロボロ。じっとしてて。昔みたいに、私が直してあげるから」
彼女が二人の柔らかな毛を丁寧に三つ編みにすると、微かな魔力が二人の首筋をくすぐりました。
「わあ、かっこいい! ぽこ、僕たちにお揃いのツノが生えたみたいだよぉ」
「本当だぁ。キミ、お化粧もできるんだね、すごいなぁ!」
二人は、かつて彼女と暖炉の前でこうして身なりを整え合っていた朝の風景を、もう思い出せません。
女の子は、結び終えたあとにそっと二人の頭を撫でました。その手の震えを、二人は「風が吹いてるのかなぁ」としか思いませんでした。




