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第56話:にじいろのガラス玉
「わぁ……! くう、見て見て。この世界、とっても『あたたかい色』をしてるよぉ」
ぽこが見つけたのは、ひび割れた「魔導レンズ」の破片でした。その破片越しに覗くと、灰色だったガレキの街が、かつての幸福な色彩——夕げの灯りや、誰かの笑顔のような暖色——に染まって見えました。
二人はレンズを交互に覗き込み、モノクロだった景色に「愛」という色を塗って遊びました。
「ねえ、ぽこ。あっちの壊れたお家、レンズで見るととっても優しそうな顔をしてるねぇ」
「本当だぁ。なんだか、見ているだけでお胸がぽかぽかしてくるよっ」
二人はレンズを宝物のように持って歩き出しましたが、数歩歩くたびに、レンズのひび割れから少しずつ「色」が漏れ出し、風に溶けていきました。門を通らなくても、触れるだけで消えてしまう、儚い色の記憶でした。




