第54話:お支払いは「あしたの約束」
二人の前に、空中に浮かぶ「ホログラムの門」が現れました。
門の横にある魔導パネルには、こう刻まれています。
『通行料:汝が今得た、未来への「目的」と、誰かと交わした「約束」を捧げよ』
「あ、これ。またお供えの時間だねっ」
ぽこは、迷うことなくパネルに手を当てました。
「……ねえ、ぽこ。いいの?」
くうが、門の前で立ち止まりました。
「さっき、女の子が『壊れないで』って言ってくれたじゃない。それも……約束のひとつなんじゃないかな。忘れちゃうのは、なんだか胸がチクチクするよぉ」
「いいんだよ、くう。だって、門が『重たくて開かないよぉ』って、寂しそうに光ってるんだもん。僕たちの約束をあげれば、門はあっち側へ通してくれるよ。それにね、くう。約束がなくなっても、僕は明日もキミの隣にいるよ。それは約束しなくても、当たり前のことだもん」
ぽこが目を閉じると、さっき獲得したばかりの「旅の目的」も、女の子との「小さな約束」も、すべて青い電気信号になって門に吸い込まれていきました。
「……あ。いまね、頭の中に涼しい風が吹いたよぉ!」
門が光の中に溶けていきます。二人は、どこへ行こうとしていたのか、一瞬で忘れました。
「ねえ、くう。なんで僕たち、こんなに急いで歩いてるんだろうね?」
「わかんない! でも、あっちに『虹色に光る水たまり』があるよ、行ってみようよ、ぽこ!」




