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第52話:ぎんいろの針と、手のひら
後ろをついてくる女の子が、二人のために「銀色の針」と「魔法の糸」を取り出しました。
「……マフラーがほつれてる。じっとしてて。昔みたいに、私が直してあげるから」
女の子の細い指先が、二人の首元で器用に動きました。
「わあ、ちくちくしないねぇ。キミの手、とってもあたたかいなぁ」
「ぽこ、見て。僕たちのマフラー、新品みたいにふかふかになったよぉ!」
二人は、自分たちがかつて彼女に服を繕ってもらいながら、明日の冒険の話をしていた穏やかな午後を、もう思い出せません。
女の子は、マフラーの端をぎゅっと握りしめ、「……もう、これ以上は、壊れないで」と、祈るように呟きました。




