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第49話:お支払いは「お母さんの体温」
星読みの塔から先へ進むには、重厚な「真空のリフト」を通らなければなりません。
リフトの操作パネルには、こう刻まれています。
『通行料:汝の深層に眠る「守られている」という安寧の記憶を、燃料として返還せよ』
「あ、これ。またお供えの時間だねっ」
ぽこは、迷うことなく操作パネルにおでこを当てました。
「……ねえ、ぽこ。いいの?」
くうが、リフトの前で立ち止まりました。
「さっきの、あったかい子守唄も、おっきな手に抱っこされた『あのぬくもり』も……。捨てちゃったら、僕たち、また一人ぼっちになっちゃうよ?」
「いいんだよ、くう。だって、リフトが『上に行きたいよぉ』って、パチパチ鳴ってるんだもん。それにね、くう。思い出をあげても、僕たちはこうして一緒にいるじゃない。一人ぼっちじゃないよ」
ぽこが目を閉じると、さっき獲得したばかりの「母の愛」と「団らん」の記憶が、青い電気信号になってリフトに吸い込まれていきました。
「……あ。いまね、頭の中が『ふわっ』てしたよぉ!」
リフトが静かに、空高くへと昇り始めます。
二人は、自分が誰に愛されていたのか、なぜ心が温かかったのか、一瞬で忘れました。




