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第36話:わすれものの、色


「ねえ、くう。さっきのビスケット、何色だったっけ?」


トコトコと歩きながら、ぽこがふと尋ねました。


「えーっとね、ぽこ。……お星様の色だったよ。黄色くて、キラキラしてて……」


「そうだったね。……あれ、でも、いま思い出すと、なんだか『青かった』ような気もするよぉ」


二人の前には門も装置もありません。けれど、歩くたびに、楽しかった記憶の端っこがボロボロと崩れ、風にさらわれていきます。


「……わかんなくなっちゃった。でも、お腹がポカポカしてるから、いいよね」


「うん。色がわからなくても、おいしかったのは本当だもんね、ぽこ」


二人は、自分たちの記憶が「お供え」しなくても消えていくことに、ちっとも気づいていませんでした。


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